【特別寄稿】造形家 / 映画監督 片桐裕司の いろいろあっていいんじゃない?|エピソード78:ついに、陪審員に!

ハリウッドで彫刻家、キャラクターデザイナー、映画監督として活動。日本で開催する彫刻セミナーは毎回満席の片桐裕司さんのエッセーです。肩の力を抜き、楽しんでお読みください!


片桐 裕司 / HIROSHI KATAGIRI
彫刻家、映画監督

東京生まれ、東京育ち。1990年、18歳のときに渡米。スクリーミング・マッド・ジョージ氏の工房で働きはじめる。98年にTVシリーズ『Xファイル』のメイクアップでエミー賞受賞。その後、『ターミネーター』『エイリアン』『ジュラシックパーク』のキャラクタークリエーション等で有名なハリウッドのトップ工房スタンウィンストン スタジオのメインアーティストとして活躍(2000〜6年)『A.I.』『ジュラシックパーク』『タイムマシーン』『宇宙戦争』等の制作に携わる。現在、フリーランスの造形家、映画監督として活躍中。
東京生まれ、東京育ち。1990年、18歳のときに渡米。スクリーミング・マッド・ジョージ氏の工房で働きはじめる。98年にTVシリーズ『Xファイル』のメイクアップでエミー賞受賞。その後、『ターミネーター』『エイリアン』『ジュラシックパーク』のキャラクタークリエーション等で有名なハリウッドのトップ工房スタンウィンストン スタジオのメインアーティストとして活躍(2000〜6年)『A.I.』『ジュラシックパーク』『タイムマシーン』『宇宙戦争』等の制作に携わる。現在、フリーランスの造形家、映画監督として活躍中。

エピソード78:ついに、陪審員に!

以前、アメリカ市民権を取得した話を書きましたが(※エピソード74:アメリカ市民権と付属品 参照) 、それから 1年ほど経ったある日、恐れていた通知が、ついに来てしまったのです!!

 

現代の赤紙「Summons for Federal Jury Service」(陪審員召集令状)です!

そうです! 現代の赤紙「Summons for Federal Jury Service」(陪審員召集令状)です! もう「オラはアメリカ市民じゃないよ~ん」は通用しないのです。もう 従うしか選択肢はありません。

友人に そのことを話したところ、彼は「以前 自分にも来たけど逃れたことがある」という体験を話してくれました。

彼が出頭した裁判所には、彼を含む多くの召集された陪審員たちがいました。

そこで、弁護士が友人たちに「君たちの中でドラッグで嫌な経験をした人はいるかい?」と聞いてきました。そして、彼が手を挙げると、弁護士は「どんな経験をしたのか?」と聞いてきました。彼は「いとこがドラッグに手を出して人生を台無しにした」と忌々しそうに話しました。

そして、その後も、弁護士が弁護するであろう被疑者を じっと睨んでいたそうです。しばらくして、弁護士は必要な陪審員を選びました。それに、友人は選ばれませんでした。そして、陪審員の義務を放免されて、その場で帰ることができたのです。

そうです。頭のいい彼は「弁護士が自分に都合のいい陪審員を選ぼうとしていること」を最初の質問で見抜いたのです。この弁護士は、ドラッグ絡みで何らかの罪を犯した人物を弁護していたのです。そこで、彼は「いとこがドラッグで人生を台無しにして、ドラッグを恨んでいる」という話を その場ででっち上げたのでした。

それを聞いた私は「よ~し! これでやってやろう」と意気込んで(どういう裁判かわかっていないが) いざ 裁判所に出かけたのでした!

時刻は 朝8時。これから どんな戦いが始まるのであろう?

期待と不安の入り混じった気持ちで指定された部屋で他の人たちと待っていると、女の人が出てきて、私たちに言いました。「今日の裁判はなくなったから 今日はみんな帰っていいよ! みんなの陪審員の義務は 今回はおしまい! イエ~イ! 」と明るく言われたのでした。公務員のこのノリは、日本じゃ考えられないですね(笑)。こういうところが、アメリカのいいところだと思います。

そんなわけで、私のはじめての陪審員経験は これで終わったのでした。帰りに「陪審員やったよ~」という証明書をもらい、それがあれば、この後 1年は陪審員にならなくていいのだそうです。

それから 1年。

執行猶予を終えた私の元に、また、ついに、恐怖の赤紙が届いたのでした...。それが、今回のエピソードの最初に載っている写真です。そして、その「運命の日」は 6月1日! また結果を報告します!

>>> その「運命の日」については、こちら

 

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