夏の夜に煌めくホタル「Summer Night Spark」のメイキング

イラストレーター Gregor Kari氏 が、夏の夜に煌めくホタル「Summer Night Spark」のメイキングを紹介します


Gregor Kari
コンセプトアーティスト/イラストレーター|ドイツ


はじめに

どんな題材を描く際にも「明確で構造化されたプロセスを持つこと」が重要です。アーティストとして活動していると、次の仕事がどんな内容になるか予測できないことがよくあります。そのため、「柔軟に対応できるように準備を整えておくこと」 が大切です。このチュートリアルでは、ホタル を例に 制作手法をお見せします。まず、素材の色を選び、その後、光と影の表現へと進んでいきます

完成ショット

01 線画

しっかりとした丁寧なスケッチから始めます。この段階で潜在的な問題を解決しておけば、後の工程がずっと楽になります。「頭部は首にどのように接続されているか?」「脚は胴体にどのように付いているか?」と自問自答するのに最適なタイミングです。常にリファレンスに目を配れば、良い方向に進められるでしょう。

しっかりとした線画があれば、描画段階でデザイン上の問題に取り組む必要がなくなります

02 レイヤーマスク & 色の選択

線画が完成したら、レイヤーマスクの作成に移ります(3Dでは「クラウンパス」と呼ばれます)。独自のオリジナルのレイヤーマスクを作り、最初のカラーパスに使用しましょう。夜の環境を表現するため、全体的に寒色系の緑の背景を選択しました。ホタル自体は背景から際立たせるため、暖色系の色調でペイントしています。

寒色系の背景により、ホタルとその暖色系の色彩が際立ちます

03 影を描く

各カラーレイヤーの上に乗算レイヤーを作成し、クリッピングマスクに設定します。私の場合、不透明度 40% が最適でした。影の明暗境界線に時間をかけて取り組んでください。屋外の夜のシーンを描いているのに、なぜ 影に暖色を選んだのか疑問に思うかもしれません。その理由は、ホタルに有機的で少し半透明な質感を与えたいからです。暖色の影を使うことで、後の工程で色の沈みを防ぐことができます。

柔らかな色の重ね塗りだけで、影を表現するには十分です

04 ライトの追加

上層にもう1つクリッピングマスクレイヤーを作成し、今度は「スクリーン」に設定します。このバージョンでは、不透明度100% のソフトイエローの光を選択しました。これは素材の色とよく馴染みます。光と影のレイヤーが重なり合わないよう注意し、その間に鮮やかな素材の色が見えるようにしてください。これにより、素材本来の美しい色味を保ちながら、自然な光と影の効果を演出できます。

ソフトイエローの光が表面を表現し、ホタルの色彩の鮮やかさを引き立てます

05 シャープなバックライト

バックライト(リムライト)は、絵の味わいを豊かにする完璧なスパイスになります。ステップ 04 と同じ手順を繰り返しますが、今度は 黄色(ソフトイエロー)の代わりに 明るい青(ライトブルー)を使用します。この寒色系の色がホタルを背景に自然に馴染ませると同時に、その明るさによってホタルをより一層際立たせます。

バックライト(リムライト)を加えることで、絵に特別なアクセントが生まれます

06 描き込む!

必要な準備がすべて整ったので、本格的に描画を始めましょう。カラーピッカーとお気に入りのブラシを使い、必要なだけ時間をかけて、ディテールまできれいに仕上げます。すでに、必要な色はすべてキャンバス上にすでに配置されているので、この工程はとても楽しい作業になるでしょう。

羽の部分ではちょっとしたテクニックを使っています。羽を新しいファイルに貼り付け、羽の付け根部分がドキュメントの中心に来るように配置して、放射状のぼかしを適用。その後、それらをメインファイルにコピーして戻し、上から追加のディテールを描き込みました。

前のステップで重要な色をすべて決めておけば、ディテールを簡単に追加できます

07 ハイライトの追加

鮮やかなハイライトを作成するため、まず、ハイライトテンプレートを作成します。新しいドキュメントを作成し、[選択範囲ツール]と[グラデーションツール]を使用して、例に示されているようなテンプレートを作成します。グラデーションマップをカラーに設定し、明るい黄色から暗い赤への美しいグラデーションを作成してください。

完成したらマージしてメインファイルにコピーし、「スクリーン」に設定します。続けて、[変形ツール]と[ワープツール]を使って、ハイライトを作成し、ぼかしツールで最終調整します。

独自のハイライトテンプレートを作成したら、今後のプロジェクトのために保存しておきましょう

08 仕上げ

最終調整として、「オーバーレイ」レイヤーを追加し、ホタルの殻が虹色に光るように追加の色を加えます。「覆い焼き」レイヤーで発光部分に光を追加します。ホタルの脚や葉に黄色の反射を加えることもお忘れなく。背景にも自由に追加の調整を加えてください。ビネット効果 と ボケ効果 を狙いました。

発光効果や虹色効果には、「覆い焼き」レイヤーと「オーバーレイ」レイヤーが便利です

 

>>> Gregor Kari氏 が日々やっているアナトミーやプロポーションの学習、Instagram は こちら

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編集:3dtotal.jp