アーティストが自分の過去作をリメイク:『アポリオン』のメイキング

07 輪郭を作成する

スケッチレイヤーの不透明度を下げて、ペイントレイヤーに粗い「輪郭(アウトライン)」を描き、描写の必要な形とオブジェクトを囲みます。輪郭は、私がアートの道を進み始めた頃からずっと欠かせない基本パートです。これにより絵が整い始め、ようやく重要な全体像に取り掛かることができます。描写する領域を分割し、それが、絵の構成や一貫性にどのように寄与するかを確認してください。

▲ 07 輪郭を描きこんでいきます。スケッチを終えてペイントに集中できるようになると、いつもホッとします

08 寄ってディテールを作成する

極端にズームインし、ディテールで作業します。パレットの統一感を保ちながら、新しい色やテクスチャを取り入れるようにしましょう。私が長年かけて習得してきたテクニックは、今も役立っています。ズームイン/ズームアウトすると、その都度見えるものが変わります。全体の配色は「薄緑と金」ですが、「高彩度の補色」をあちこちに加え、視覚的な面白味とコントラストを高めます。色の強さに微妙な違いを出すのは有効ですが、やり過ぎに注意しましょう。大胆に「水色や紫」を淡い黄色のパレットに混ぜ、どんな効果が生まれるか試してください。

▲ 08 ディテールの作業では、「塵も積もれば山となる」が当てはまります

09 絵を反転させる

このあたりで、キャンバスを反転させましょう。長い間、反転イメージを確認せずに作業を続けると、バランスが悪くなっている可能性があります(目が慣れてくると、間違いに気づけなくなるため、オリジナルと反転バージョンを行き来します)。構図的にも、キャンバスを反転させることで、全体の視覚構造に潜んでいる欠点が明らかになるでしょう。また、イメージを少し回転させれば、新たな視点を得ることもできます。

▲ 09 キャンバスを反転させると、横顔がどの程度うまく描けているかわかります

10 アポリオンのディテール

2人めの人物、アポリオンに取り掛かりましょう。いつものように頭部から始め、広い部分も、ディテールにこだわる部分も、必ずパレットから色を取り入れるようにします。私は長年、燃え尽き症候群や疲労から逃れる術を学んできました。そして、「集中力を維持し、生産的なワークフローを実現するためには、明確に決められた手順を踏むことが有効である」と気づきました。たとえば、今回は1人めを仕上げるまで、2人めには着手しませんでした。

▲ 10 現時点のアポリオンはラフで緩いですが、あとで洗練させます

11 らせんを1つずつ

アポリオンの髪の毛は、キャンバスの中でかなりの部分を占めており、描写には膨大な労力を要します。そのため、私は圧倒されないように、らせんのセクションを1つずつズームインして描いています。不特定多数の色や明度の違いを見て迷わないように、まだ描ききれていないラフな部分に「輪郭」を描き、各セクションの計画をしっかり立てます。

▲ 11 最終的に、髪の毛であると認識できなくなり、すべてがただの色と明度になります

12 影と光

髪の毛は、元のスケッチで明確に定義されていないので、「光と影の領域の輪郭」を描いて、形のコンテクスト(文脈)を作ります。これらの領域がわかってくると、絵全体が洗練されます。私は憶測でアートを制作するのは好まないため、らせん状の髪の輪郭を1つ1つじっくり観察します。初めから輪郭を描いて明確にしておくと、作業がずっと楽になるでしょう。

▲ 12 髪の流れに沿うことで、リラックスして作業できました

13 レイヤーを切り替える

絵の一部に不自然に重なり合う部分や、うまく溶け込んでいない部分があります。すべてを1つのレイヤーにペイントすれば、この問題は解決しますが、それだと作業スピードが遅くなり、編集も難しくなるでしょう。代わりに、いくつかのレイヤーに分けて、その表示/非表示を切り替えれば、プロセスはより効率的で正確になります。また、意識しなければならない要素が多いため、オブジェクトの適切な配置は大きな手助けとなり、後の面倒な作業の手間を省けます。

▲ 13 オブジェクト(剣)レイヤーの不透明度を調整し、後ろにある手の形を確認しています