2D から 3D へ:スタイライズ キャラクター「Michi」のメイキング

06 衣装の作成

Marvelous Designer でTポーズ(Aポーズ)のキャラクターのトップスを作成します。このツールを使えば、複雑なポーズを交差させることなく、パターンの作成と修正を素早く行えるでしょう。全体の仕上がりに満足したら、ポーズをとった新しいボディをモーフターゲットとして読み込みます(※下図参照)。ブレンドシェイプを機能させるため、必ず両方を同じトポロジーにしてください。この方法で、ポーズA から Bへのアニメーションが生成され、腕を後ろに動かしたときにできる袖の自然なシワや、腕と腕の間の布のピンチも表現することができます。

また、袖に[圧力]少し加えて、コンセプトにある「膨らみ」を実現しています。

Marvelous Designer でAポーズにパターン作成

衣装をポーズに合わせます

最終ポーズで長さとフリルをさらに調整し、パーティクル距離を小さくして、布のディテールを最大限に引き出します(Maya のサーフェスにアーティファクトが発生しないように)。その後、Maya に進み、「flat to pose」方式でトポロジーを作成しました(※編集部注:この手法については、「成長したエリーのメイキング」も合わせて参照ください)。
 

1. Marvelous Designer で衣服に適した UV を配置し、ポーズつきの三角メッシュとフラット三角メッシュ(パターン)をエクスポート

2. Maya に読み込んだフラットパターンの上に、[四角ポリゴン]+ライブモードでうまくトポロジを作成(UVは失われます)

3. ワールド空間の UVを三角形のフラットパターンから、作成したフラットなリトポロジ パターンに転送

4. 最終ポーズの三角メッシュの位置を、同じ UV のリトポロジしたフラットパターンに転送(もっと解像度が必要な場合は、この手順の前に分割します)。

あとは、必要な部分をマージして、縫い目を作っていくだけです。この方法によって、完璧な UV を保持できるので、テクスチャを作成するときに役立ちます。

Marvelous Designer と Maya の連携は少し複雑です

ズボンは、肌と非常に密着していて、穴の形も複雑なので、Maya で直接モデリングしました。続けて、ZBrush に書き出して分割し、ディテールやシワを追加しています。

裂けた部分には、[Curve Tube]ブラシで糸を作り、それを微調整して太さのバリエーションをつけます。

Maya で靴とズボンをモデリングします。ZBrush の[Curve Tube]ブラシで避けた部分に糸を作成します

07 ポージングと最終ディテール

衣装にディテールを加える前の段階で、ZBrush の[トランスポーズマスター]でポージングし、メッシュに無駄な変形を加えないようにします。

まず、コンセプトからアクションラインを定めます。そして、コントラポストの原理(腰と肩の角度が反対になり、胴体がわずかにS字カーブを描く古典的なポーズ)を応用し、コンセプトより少し踏み込んだダイナミックなポーズを作ります。最終ポーズを決める前に、2~3 ポーズを素早く作り、最も気に入ったポーズを洗練させます。

全体的に納得できたら、髪のシルエットに取り組み、顔を左右非対称にします。最後に服装を整え(※前のステップを参照)、Maya で UVを作成します。シンプルなシェーディングにしたいので、ZBrush のポリペイントでテクスチャリングし、Maya にマップをエクスポートします。

ZBrushの[トランスポーズマスター]でポーズをつけます

08 ライティングとレンダリング

ライティングとレンダリングは Arnold を使用します。このシーンでは、合計4つのライトをセットアップしました。

キーライト:暖色系のエリアライト
リムライト:エッジの輪郭とキャラクターを背景から分離する青系のエリアライト
フィルライトとバックライト:予備のエリアライトを2つ(暗い部分を明るくする)

クローズアップのレンダリングでは、Arnold の DOF も有効にします。その後、さまざまなパスをレンダリングして、Photoshop で最終合成して完成させます。

Maya でセットアップしたライト。Arnold でレンダリングする

プロのヒント:休憩を入れる

新しいキャラクターに取り組んでいるときは、イライラしたり、上達していないと感じたりする瞬間が必ずあります。私からのアドバイスは「諦める前に休憩を入れる!」です。しばらく PC から離れ、新鮮な気持ちで戻ってきてください。また、うまくいかないボリュームやコンセプトの部位を理解するため、絵を描いてみるのもいいでしょう。2Dなら、新しい視点で見ることができます!

 

完成イメージ

さまざまなアングルから見たモデル

【インタビュー】すべてのプロジェクトから学びを。シニア モデラー Cristina "Ina" Ortega 氏

 


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編集:3dtotal.jp