ZBrush スカルプト:『Thorn Lieutenant -茨の副官』のメイキング
キャラクターアーティスト Felipe Fontoura氏 が、岩場に立つエルフとサテュロスをスカルプト、『Thorn Lieutenant -茨の副官』のメイキングを紹介します

はじめに
このチュートリアルでは、Uriah Voth氏 のコンセプト、『マジック・ザ・ギャザリング』のカードイラストをもとに制作した「Thorn Lieutenant (茨の副官)」のスカルプトプロセスの一部を紹介します。ヒントを示しながら、どのようにアクセサリーやキャラクターをモデリングしたか見ていきます。
レンダリング画像
01 リファレンスを探す
キャラクターをブロッキングする前に、モデルになるようなリファレンスを十分に見つけておくことが大切です。アナトミーフォーム、アクセサリー、ディテール、他のアーティストの作品など、インスピレーションになるものを探してください。そうすることで目標ができ、最終イメージの幅が広がります。
リファレンスの一部
02 スカルプトを始める
ZBrush のベースメッシュを基に最初の形を決めたら、アクセサリーのモデリングを始めます。ここではアナトミー(解剖学)にあまり時間をかけず、キャラクターの大まかなコンセプトを見出します。今回のキャラクターコンセプトにはアクセサリーがたくさんあるので、最初のうちは、機能性を気にせず、ストラップを作ったり、アーマーやスカートを着せたり、アクセサリーをモデリングしていきます。
1体目のキャラクター(エルフ)をスカルプトする
03 2体目のキャラクターをスカルプトする
1体目と同様に、ZBrush のベースメッシュから始めます。2体目のコンセプトははっきりしていませんが、とりあえず 進めることにしました。「森のエルフ」と「サテュロス」は、今まで作ったことのないクリーチャーだったので、挑戦してみたかったのです。1体目と同じように機能性を気にせず、アクセサリーのモデリングを始めます。
2体目のキャラクター(サテュロス)をスカルプトする
04 ポーズ
ポーズは重要です。これにより、完成キャラクターに生命が吹き込まれます。今回のポーズはコンセプトに近づけつつ、少し変化をつけてみました。私の場合、キャラクターに好みのシルエットを出してから、ZBrush の[トランスポーズ]でポーズをつけます。アクセサリーの作り直しや、アナトミーの修正も必要になるため、ディテールはポーズをつけてから仕上げます。
キャラクターにポーズをつける
05 アクセサリーのモデリング
図はアクセサリーの作り方を示しています。革の部分は、ZBrush のサーフェスノイズにアルファを適用して仕上げました。[ツール]>[サーフェス]>[ノイズ]に進み、[NoiseMaker]メニューにアクセスします。
[NoiseMaker]でアルファを適用します
06 アルファとマスクでディテールを作成する
モデル全体に適用されないようにマスクして、アルファを表示させたい部分のみを露出させます。
マスクでアルファを適用
07 髪の毛をスカルプトする
髪の毛と毛皮(ファー)のスカルプトは、ほぼ同じプロセスで進めます。普段は[Claytubes]と[Move]ブラシで塊を整え、欲しい形を作ってからディテールを入れます。その後、サブディバイドし、[Claytubes][Clay][Move][DamStandard]ブラシでさらに磨きをかけます。
髪の毛をスカルプトする
08 毛皮をスカルプトする
毛皮の形を整えるのに役立つのが[SnakeHook]ブラシです。これは[Move]ブラシと同じように動作しますが、シルエットを出したり、メッシュを少し変形させたりすることができます。
毛皮をスカルプトする
09 ブラシの作成
アクセサリーのエッジにディテールを加えるため、まず 3ds Max でオブジェクトを作成し、複製して互いに挟み込みます。次に そのオブジェクトを ZBrush へインポートし、[Insert Mesh]に適用して ブラシに変換します。その後、図のように[ストローク]メニューでブラシを繰り返し、思いどおりの仕上がりにします。ここで覚えておいて欲しいのは、[カーブステップ]の値を減らして、連結できることです。
[Insert Mesh]とストロークの使用