マットペイント:暴風雨の描き方

04 雨の追加

次に、雨を追加しましょう。ここでは、雨のペイント用にシンプルなカスタムブラシを作成しました。明るい雨の色(RGB:100, 97, 96)を選択し、この雨ブラシを使用してシーン全体をペイントします。また、地平線により多くの雨を描画します(図05)。

図05:雨ブラシを使用してシーン全体をペイントします

今度は、新規レイヤーを使って、前景のごみ箱に濡れたような効果を追加しましょう。ごみ箱の光が当たっている領域に白のストロークをいくつか描画し、その後ろに単純な反射とバックライトを追加するだけで、濡れているような効果を演出できます(図06)。

図06:ごみ箱の光が当たっている領域に白のストロークをいくつか描画

雨に濡れる効果を高めるには、水しぶきも追加する必要があります。この効果については、もう1つシンプルなブラシを作成しました(このブラシに特別な設定はありません)。このブラシを選択し、新規レイヤーをもう1つ作成して、ごみ箱の周りに小さな雨粒をペイントします。

さらに、農場の反射とごみ箱が濡れた地面に反射する様子を描画する必要があります。この手順は非常に重要です。慎重に進めてください。新しいレイヤーを作成し、表示されているレイヤーを結合します([Shift]+[Ctrl]+[Alt]+[E])。これで、すべての絵を1つの固有のレイヤーにまとめることができました。ただし、その他のレイヤーもまだ表示されています。[なげなわツール]を使って農場とごみ箱を選択すると([Ctrl]+[J])、新しいレイヤーに選択範囲のコピーが自動的に作成されます(図07)。

図07:新しいレイヤーに選択範囲のコピーが自動的に作成されます

[編集]>[変形]>[垂直方向に反転]を選択し、複製を元の農場とごみ箱の下に移動したら、円いソフトブラシを使ってエッジを消します。図08 のような画像が得られるはずです。反射をよりはっきりさせるには、レイヤーの描画モードを[オーバーレイ]に変更します。これで、地面に反射の効果が作成されます。

図08:複製を元の農場とごみ箱の下に移動したら、円いソフトブラシを使ってエッジを消します

05 稲妻の追加

次に、この嵐のシーンに稲妻を追加しましょう。最初に、稲妻にはコントラストが必要なため、絵の上部を少し暗くします。新規レイヤーを作成します。より暗い色(RGB:65, 61, 59)を選択し、もう一度グラデーションツールを使って、この新規レイヤーをペイントします。レイヤーの描画モードを[オーバーレイ]に変更し、[不透明度]を50%に下げます。これで、この暗い空にハイライトを簡単にペイントすることができます。

この嵐のシーンに稲妻を作成するには、明るい色を使って不規則なシェイプをペイントします。その後、稲妻の上部を滑らかにすると、まるで雲の中から稲妻が発生しているような効果を得ることができます(図09)。

図09:まるで雲の中から稲妻が発生しているような効果を得ることができます

新規レイヤー([通常])を作成し、円いソフトブラシを使って、稲妻の1つ目の光彩効果を追加します(そうです、ほんの数分後にもう1つ追加しますよ)。稲妻の効果を高めるため、雲の底部に反射を追加します。[オーバーレイ]レイヤーを作成し、稲妻の上に2つ目の光彩効果を白でペイントします。光彩効果がある場合とない場合の稲妻の違いを 図10 で確認できます。

図10:光彩効果がある場合とない場合の稲妻の違い

06 仕上げ

最後の手順として、私がいつも使っているテクニックを使用して、絵にテクスチャを追加し、シャドウの量を増やします。新規レイヤーを作成し、表示されているすべてのレイヤーを再び結合します。手順は覚えていますか? [Shift]+[Ctrl]+[Alt]+[E]を押すだけです。これでシーン全体が結合されました。

[イメージ]>[色調補正]>[2 階調化]を選択し、図11 のような結果が得られるまで調整します。古いペン画のような見た目になったでしょうか?

このテクニックは、絵に適切なライトとシャドウを作成できたことを確認する場合に便利です。この新しい白黒のレイヤーを選択し、描画モードを[乗算]に変更します。今回は、不透明度を5%に下げなければなりません。このテクニックを使用する場合は、不透明度は15%以下にとどめるようにします。さもないと、せっかくのペイントが覆い隠されてしまいます。

図11:このような結果が得られるまで調整します

ついにこの絵の完成を宣言できるときがきました(図12)。このチュートリアルで紹介した手順やテクニックを、皆さんの作品作りにご活用いただけたら幸いです。毎日練習して、身に付けたスキルをすばやく使いこなせるようにしてください。この業界では、スピードと品質が何より重要です!

 

図12:完成イメージ

 

※このチュートリアルは、書籍『Digital Painting Techniques 日本語版』にも収録されています (※書籍化のため一部変更あり。また、この「暴風雨」の他に「砂嵐」「竜巻」「吹雪」「熱波」の描き方も収録)。

 


編集部からのおすすめ: フォトバッシュやブラシのテクニックで 素早く絵を仕上げる技法、スピードペインティングを学ぶには 書籍『スピードペインティングの極意』を、Photoshop を使ってペイントする方法を学ぶには 書籍『Photoshop デジタルペイントの秘訣』をおすすめします。

 


編集:3dtotal.jp