若年、中年、老年。肌の描き方のヒント

若年、中年、老年。肌の描き方を学び、スキントーン、毛穴、皮脂などのリアルな要素を再現しましょう


Gina Nelson
リード アーティスト|英国


はじめに

このチュートリアルでは、リアルな 肌のテクスチャ(質感)を描くためのヒントとトリックを学びます。これはイラストだけでなく、3Dモデルのテクスチャ作成にも応用できることでしょう。今回は、まず、3つの肌のタイプについて簡単に概要を説明し、次に、各段階の主な領域の作成方法に焦点を当てます。

ここでは Photoshop を使いますが、これらの方法やテクニックは他のデジタルペイントソフトにも応用できることでしょう(※ペンタブレット必須。私はワコム製品を使用しています)。また、カスタムブラシを使ってないことにも留意してください。大抵の場合、基本的なチョークブラシとノイズブラシを含むレガシーなブラシセットを使っています(※解説する肌のタイプは、その直前の肌の上に作られています。ゼロから作っているわけではありません)。

さまざまな年代の肌を描きましょう!

色とスキントーン

私たちは一人ひとり異なるので、数え切れないほどスキン(肌)トーンのバリエーションがあります。こうしたことから、肌を構成するパレットを決めるのは非常に難しく、私は、それらをすべて知っているわけでも、理解しているわけでもありません。しかし、作品の 肌によく合うカラーパレットがあるので、そのいくつかを紹介しましょう。

私の作品でよく使うスキントーンのカラーパレット

スキントーンのリファレンスを探しているなら、素晴らしいプロジェクトがあります。フォトグラファーの Angelica Dass(アンジェリカ・ダス)氏は、以前に興味深いプロジェクトを行いました。彼女は Pantone(パントン)のカラーシステム を使って、想像しうる すべてのスキントーンを記録しようとしたのです。それらはとても興味深く、肌に合ったカラーパレットを見つけるときに役立つことでしょう。詳細は以下のウェブサイトをご覧ください 。

■プロジェクト「Humanae」
https://angelicadass.com/photography/humanae/

プロジェクト「Humanae」

若年の肌(0 - 10歳くらい)- 概要

若年の肌を見ていると、いくつかの特徴に気づくことでしょう。一般的に かなり滑らかで、均等な色をしています。目に見える毛穴やしわは少なく、テクスチャは ごくわずかです。思春期を過ぎるとたくさんの脂を生成し始めますが、まだ脂っぽさはありません。これは、シャープなハイライトがないことを意味します。光が反射せず、かなり拡散します。

若年の肌 - おそらく、10代になるまでに見られる特徴です

若年の肌 - 少しバリエーションを追加

子供の肌といえども、完全に滑らかではありません。ここでは、しみや老化に見えない微妙なバリエーションを加えてみましょう。滑らかすぎるとプラスチックのように見えるので、こうしたバリエーションで自然な感じの肌にします。新規レイヤーを作成し、シンプルなチョークブラシでノイズをいくつか描き、レイヤーの描画モードを[比較(暗)]、不透明度を 12%に設定します。

少しバリエーションを追加します。そうしないと、肌がプラスチックのように見えるかもしれません

若年の肌 - テクスチャの作成

若年の肌を含め、すべての肌には わずかなテクスチャがあります! ここでは、ペイントした肌に加えるテクスチャを作成しましょう。まず レイヤーをグレーに塗りつぶし、次に フィルターを適用します。私は[フィルター]>[フィルターギャラリー]に進み(Windows では[Alt]+[Ctrl]+[F]キー)、[テクスチャ]>[テクスチャライザー]で[砂岩]を選択します。これで、使い勝手の良いソフトノイズのテクスチャができました。

どんな肌でも、テクスチャがあります

若年の肌 - テクスチャの適用

作成したテクスチャを肌のレイヤーを適用しましょう。レイヤーの描画モードを「ソフトライト」、不透明度を 13%にするだけです。13% は少なく感じるかもしれませんが、レイヤーのオン/オフを切り替えると、それがもたらす計り知れない効果を目にすることでしょう!

テクスチャを適用すると、リアルな肌になります

中年(青年 - 壮年期)の肌 - 概要

20代になる頃には、肌の状態も大きく変わります。発疹・にきび跡・日焼けのシミ・そばかす があるかもしれません。30代になると、微妙なしわを入れてもよいでしょう。おそらく、この頃の肌は、最も油分が多い状態です。つまり、肌に光が当たると、小鼻や額の一部に強烈なハイライトができやすくなります。皮脂は光を跳ね返して 肌のテクスチャを際立たせ、毛穴が深く見えます。

もし メイクアップについて知識があるなら、皮脂やハイライトの外観を軽減するため、顔にパウダーファンデーションを使うのが一般的であると ご存知でしょう。それは 肌を若く滑らかに見せます。

中年の肌 - 概要

中年の肌 - シミ

中年になると ほとんどの肌は、皮下のわずかな隆起、毛穴、あるいは、肌の不調によって、無傷ではありません。小さなドットをいくつかペイントし、レイヤースタイルで[ベベルとエンボス]をわずかに追加。そして、レイヤー描画モードを[覆い焼き(リニア)- 加算]、不透明度 60%にして微妙なバンプを表現します。

誰にでもシミはあります。もちろん、あなたの肌にも!

中年の肌 - テクスチャ

先に述べたように、あらゆる肌にはテクスチャがあり、年齢を重ねるごとに その量や不完全性は増していきます。シミ・そばかす・微妙なしわを加えたら、すべてのレイヤーを複製し、1つに統合しましょう。これで この新しい統合レイヤーに[ラップ]フィルターを適用できるようになりました。では、[フィルター]>[フィルターギャラリー]>[アーティスティック]>[ラップ]の順に選択してください。生成されたイメージには光沢が強く見えますが、肌に驚異的な効果を発揮するでしょう。

フィルターを使って、さらに質感を強める

中年の肌 - 皮脂

前のステップで作成したラップレイヤーの描画モードを[ソフトライト]に変更し、今回は 不透明度を 100%にします。これは、光が直接当たっている部分に皮脂を表現するためです。それ以外の部分は除去しましょう。まず ラップレイヤーにレイヤーマスクを追加し、次に 弱めたい部分をソフトブラシでペイントします。

レイヤーマスクで皮脂の強弱を調整します

老年の肌 - 概要

老年の肌のペイントは、さらに楽しくなります! 人の肌は年齢を重ねると薄くなり、ティッシュペーパーのようになることもあります。これは、肌が半透明になり、血管・あざ・発疹、その他の不完全な部分が見えやすくなるということです。また、高齢者は 脂性肌が少ないので、シャープなハイライトが目立たなくなり、光が拡散して見えるようになります。

より透明になり、少ない光沢の組み合わせになった結果、スキントーンに青・紫・黄が見え始めます。これらは、実際に皮下にあるトーンが明らかになっているからです。ほとんどの老年の肌には、色あせたシミ・新しい日焼け跡・発疹・目に見える毛穴・色むら、そして、多くのしわがあります。

老年の肌 - 概要

老年の肌 - 色

このステップでは、追加する色の量がわかるように、すべてのカラーレイヤーを完全な不透明度に設定しています。加えた 青や黄色、そして、濃い部分に注目してください。実際には、これらのカラーレイヤーの描画モードを[ソフトライト][オーバーレイ]のいずれかに設定し、さまざまな不透明度にしています。色や不透明度をいくつか試し、あなたの作成している肌に最適なものを選びましょう。

実際には、描画モードと不透明度を調整し、最適な肌に見せます

老年の肌 - しわ

リアルなしわを作るときに大切なのは、その向きしっかりと決めることです。しわは決してランダムなものではなく、肌の輪郭に沿っています。そして、できやすい場所はより濃く、さまざまな深さになります。私が発見した最も重要なしわの特徴は「クロスハッチングされたダイヤのような形で現れる」ということです。一般的に、深いしわから小さなしわへ枝分かれして、ダイヤの形になります。

ここでは、最も深く大きなしわを 紫、二次的なしわを オレンジ、その間のとても小さなしわを 青で表しています。

しわを色で分けています(太い:紫、中くらい:オレンジ、細い:青)

老年の肌 - バリエーション

しわは「タイプ」ごとにレイヤーに分けて保管します。ここで重要なのは、レイヤーの[塗り]を 0 に設定することです。これにより、基本的にレイヤーの内容は透明になりますが、[不透明度]を変更するのと異なり、レイヤースタイルやエフェクトには影響ありません。この手順は、私の求める効果を生み出す上で極めて重要です。

各レイヤーで[レイヤースタイル]>[ベベルとエンボス]を設定します。図のように、私はレイヤーの描画モードでなく、[レイヤースタイル]の描画モードを設定しています(レイヤーの描画モードは、目に見えるコンテンツにしか適用されません。しわレイヤーの[塗り]は0になっています)。これで、希望どおりの結果が得られるはずです。ここから、さまざまなしわの種類に合わせて深さを調整し、最適な組み合わせを見つけてもよいでしょう。

[レイヤースタイル]でバリエーションをつける

>> 顔の描き方について知りたい方は「若い顔を老いた顔へ - 顔の描き方のヒント」もご覧ください。

 


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翻訳:STUDIO LIZZ (TK)
編集:3dtotal.jp