【特別寄稿】造形家 / 映画監督 片桐裕司の いろいろあっていいんじゃない?|エピソード10:DRAGONBALL EVOLUTION その5
ハリウッドで彫刻家、キャラクターデザイナー、映画監督として活動。日本で開催する彫刻セミナーは毎回満席の片桐裕司さんのエッセーです。肩の力を抜き、楽しんでお読みください!

エピソード10:DRAGONBALL EVOLUTION その5
記憶から消し去りたい映画『DRAGONBALL EVOLUTION (ドラゴンボール・エボリューション)』...
その4 からのつづき
今まで仕事した映画で見ていない映画は数多けれど、これだけは一体どんな風に仕上がったのか、気になってしょうがない。しかし、映画館で金を払って観るつもりは毛頭なかった。そんなわけで、これは DVD が出てから借りてみることにしたのでした。さて、感想はというと...
さて、感想はというと...
最悪だ...
いくら何でもこれは無いだろう。ここまで映画を見て腹が立った事は無い。これほど原作やファンを馬鹿にした映画が、かつてあっただろうか? 聞き覚えのある登場人物が出るたびに、自分の眉間のしわが深くなる。悟空、ブルマ、チチ、ヤムチャ、亀仙人... 何これ? 百歩譲って、これがドラゴンボールであると言う事を無視して、オリジナルの映画として見たとしてもひどすぎる。脚本のひどさから安っぽすぎるセットに衣装。ダメダメCG。
製作中から経営陣による不条理な要求の数々...「こうすればもっと金が儲かる」という考えを前提としたうんこちゃんな意見を押し付けてくる。いいものを作ろうなんて気持ちはみじんも感じない。結局、公開前に情報がリークして、ファンの大反感を買い、ピッコロは緑に。オザールはその場しのぎの CG大猿に変わったが...
しかしながら、どんなにひどい映画でもいいところはあるもんである。 DVD の特典映像で、スタントコーディネーターのアメリカ人の兄ちゃん達(師匠と弟子らしい)がカメハメ波の打ち方の実演をするのだが...
まずは、先生
「か、、、み、、、は、、、み、、、はーーーーー」
ちょっと違うぞ!
そして、弟子
「か、、、み、、、は、、、み、、、はーー」
いくら弟子でも、そこは先生をまねしなくても...
でも、2人とも、かみはみは はかわいいぞ。
かわいいと言えば、ブルマの役者はかわいかった。
って、プロデューサーの策略に見事にひっかかっている私...
"非国民"
日本の偉大な文化を破壊する片棒を担いだ者として、そう呼ばれても仕方がない...
しかしながら、その時はどんなに苦しくても、時が過ぎれば格好のネタになるのですね。こうして書いてみて、今ではやってよかったと思っております!
ドラゴンボール万歳!!!
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