【インタビュー】1つのことに集中する:3Dアーティスト Riyad Hasan 氏
3Dアーティスト Riyad Hasan 氏 が、その芸術的な旅路について語ります

Q. 自己紹介をお願いします
こんにちは、3Dアーティストの Riyad Hasan です。バングラデシュのダッカで育ち、現在はシカゴに住んでいます。子供の頃から、3Dキャラクターやクリーチャーを作ることにずっと夢中でした。残念ながら、当時のバングラディシュには アニメーション / VFXスクール がなかったので、建築学の学士課程を修了した後、アニメーションの修士号(M.F.A)を取得するためにアメリカへ移住することを決意しました。
2015年に Rookies Awards の受賞者の一人に選ばれ、これが業界への扉を開いてくれました。The Mill で4年間 3Dアーティストとして働いた後、教育の世界でキャリアをスタートさせました。現在はデポール大学で 3Dモデリングの講師として働きながら、自由時間を個人プロジェクトに費やしています。
「Uhtred - The Last Kingdom」:私は ドラマ『ラスト・キングダム』と俳優の Alexander Dreymon の大ファンです。これは彼が演じたウートレッドの CGポートレートです
Q. 「Uhtred - The Last Kingdom」の制作ワークフローをおしえてください。アイデアはどこから得ましたか
私は2年ほど、フォトリアルな CGヒューマンに重点を置いてきました。スキルを向上させるために、Kris Costa の「Fly on the wall(FOTW)」コースを受講し、キャラクター制作を始めました。私は ドラマ『ラスト・キングダム』と ウートレッド役を演じる俳優 Alexander Dreymon の大ファンなので、敬意を表することにしました。インターネット上に彼をさまざまな角度から見た画像がたくさんあったので、スカルプト中の作業はやりやすかったです。
まず、Maya でベースメッシュを作成し、ZBrush に移動します。ZBrush の HDスカルプティングオプションを使用する場合、ポリゴンが均等に分散されていることを確認し、ポートレートスカルプティングを開始します。このプロジェクトでは、肌のディテールをすべてスカルプトするのに最も時間がかかりました。Mari で肌のテクスチャをペイントし、Substance 3D Painter で衣装を作成。グルーミングには Maya の XGen を使用し、レンダリングには Arnold を使用しました。
驚いたことに、Alexander Dreymon 本人が 私の Instagram でレンダリング画像を見て、褒めてくれました。これは本当に嬉しかったです!


「Uhtred - The Last Kingdom」
Q. 制作で苦労したことはありますか? 新しい学びはありましたか?
最初の課題は、顔を正確に表現することでした。有名人の場合、「不気味の谷」に陥りやすいため、スカルプティングとルックデヴの段階で、特に目と唇の周りを何度も修正する必要がありました。ZBrush でスカルプティングを始めるときは、初期段階から基本的なスタジオライティングセットアップでモデルを Maya に持っていくことをお勧めします。ZBrush と Maya のレンダリングで顔の見え方が少し異なることがよくあるため、早い段階から Maya で複数のカメラアングルからチェックしておくとよいでしょう。
カスタマイズされたスキンブラシを使って、毛穴やシワなどの肌のディテールをスカルプトすることが、このプロジェクトで最も大変でした。高解像度の肌の写真を常に確認しながら、毛穴のディテールを何度もやり直したため、かなりの時間がかかりました。以前はスキャンデータを使っていましたが、今回初めて手作業でスカルプティングを行い、大きな達成感を得られました。
このプロジェクトは、初めて XGen を使用した作品です。XGen のスカルプトとレイヤーシステムでは、グルーミング作業をより創造的に行うことができます。
「Feudal Japan: Artstation Challange Submission」:Artstation チャレンジ「Feudal Japan (中世の日本)」のために制作したプロップの1つ。コンセプトアートは Andrea Anselmi によるもの
Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあれば おしえてください
毎年、取り組みたいプロジェクトや向上させたいスキルなど、具体的な目標を設定しています。私が自主制作で学んだことは、1度に多くのプロジェクトを始めると、どれも完成できないということです。ですから、現実的な目標を設定し、同時に複数のプロジェクトを抱えすぎないようにするとよいでしょう。また、何かに集中することは、上達への近道です。3Dアートの世界は広大です。すべてをマスターする必要はありません。自分が本当に好きなものを見つけて、それを磨き上げることが大切です。


「Creature」 MFA卒業制作のためにデザインしたクリーチャーコンセプト。ZBrush でスカルプトとペイントを行い、KeyShot でレンダリングし、最後に Photoshop で合成しました
「eEEL 151」 The Mill での1ヶ月チャレンジの作品。ZBrush をハードサーフェスモデリングに使用したのは初めてで(ロボットモデルも初めてです)、テーマは「高電圧」です。そこで、ロボットの電気ウナギをデザインしました
Q. 芸術的な目標はありますか?
建築ビジュアライゼーションからクリーチャーデザインまで、長年にわたってさまざまなことを試してきました。しかし、より良いアーティストになるためには、1つのことに集中する必要があると気づきました。そこで、2年間かけて創造的な自己探求を行い、「自分は何が好きなのか」を深く考えました。その結果、私は人間の顔に常に魅了されてきたことに気づきました。3Dアーティストとしても、フォトリアルなCGヒューマンに特別な関心を持っています。いつの日か、3Dポートレートアーティストとして地位を確立し、私の作品を伝統的なアート作品のように見てもらいたいですね。


「MERLIN」
「MERLIN」:Vsevolod Pechenkin のコンセプトアートを基に制作。スカルプティングに ZBrush、モデリングとライティングに Maya、グルーミングに XGen、テクスチャペイントに Substance 3D Painter、レンダリングに Arnold を使用
Q. お気に入りのアーティストは誰ですか? 手描き/デジタルどちらでもかまわないので、理由も一緒におしえてください
3Dアーティストでは、Ian Spriggs、Kris Costa、Haitham Zaki、Andrey Bogomolov がお気に入りです。彼らは3Dポートレートに生命を吹き込む能力が素晴らしいです。また、Maria Panfilova、Niyazi Selimoglu、Zhelong Xu、Borislav Kechashki のスタイルも魅力的です。2Dアーティストでは、Loish、Ross Tarn、Irakli Nadar がお気に入りです。


「Ceolacanth」:仕事の後、自由な時間に取り組んでいる個人プロジェクトです。生きた化石として知られるシーラカンスに以前から興味があったので、スカルプトしてみることにしました。化石の岩のような質感を表現するため、単色(モノクロマティック)の表現を目指しました
Q. 今後の活動についてお聞かせください
現在、女性のポートレートに取り組んでいます。今回は実在の人物ではなく、架空の顔を探求したいと考えています。衣装とジュエリーのラフなアイデアもあり、これまで挑戦したことのない ZBrush でのジュエリーのスカルプティングも楽しみです。CGポートレートで表情豊かな顔を作るのは非常に難しいですが、このプロジェクトで挑戦したい大きなテーマの1つです。
また、Unreal Engine を本格的に学びたいと思っています。このツールは直感的で、多くのことを素早く実現できることに驚かされています。以下は、Unreal Engine で制作した初めてのプロジェクトの一部です。環境はアイスランドの岩場の風景からインスピレーションを受けています。
「Solace」:Unreal Engine 5.6 と、Quixel Megascans のアイスランド系アセットを使用
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