【インタビュー】大事なのは、目標を設定して 達成すること:キャラクターアーティスト Konstantin Gdalevich 氏

Konstantin Gdalevich 氏 が、インスピレーション、常に進化するワークフロー、目標を持つことの重要性について語ります


Konstantin Gdalevich
シニア キャラクターアーティスト


Q. 自己紹介をお願いします

こんにちは。Konstantin(Kosta)Gdalevich です。イスラエルのテルアビブの太陽の下で育ちました。Snowball VFX でサーフェシングアーティストとして、ディズニー番組向けにテクスチャやシェーダ、グルームの制作に携わる一方、フリーランスのリードキャラクターアーティストとして未発表のアニメーションプロジェクトにも参加。『Apex Legends』ではキャラクタースーパーバイザーとしてキャラクタースキンを制作しました。また、これまでの経験を活かして、キャラクターアートのコースを cgtarian.com で教えるなど、知識の共有にも取り組んでいます。

 

★Apex Legends characters(1分35秒)

★「The Apprentice」(15秒)

Q. 制作ワークフローをおしえてください。「ミス・フォーチュン」のアイデアはどこから得ましたか

このアイデアは Jennifer Wuestling 氏 の作品から生まれました。彼女が制作した『リーグ・オブ・レジェンド』スプラッシュアート を見た瞬間、一目惚れしてしまったのです。ミス・フォーチュン は個人的にゲーム内で最も魅力的なキャラクターの一人で、技術的にも彼女の魅力を表現できるレベルに達したと感じ、挑戦することにしました。うまくいったかどうかは、皆さんの判断にお任せします!

ワークフローは、モデリング部分で MayaZBrush を組み合わせています。この2つのソフトを行き来することで、精密な頂点編集ができる Maya と、自由な造形ができる ZBrush の両方の強みを活かすことができます。最近は ZModeler の機能をよく使っていますが、昔ながらのポリゴンモデリングに切り替えるタイミングを見極めることも重要だと考えています。

モデリングを終えたら、UVツールキットを使ってUVを展開。その後、すべてを Substance 3D Painter に持ち込んでテクスチャを作成しています。この作品は最終的に Marmoset Toolbag でリアルタイムレンダリングしたので、SubstanceMarmoset でほぼ同じテクスチャを確認しながら作業を楽しむことができました。

「ミス・フォーチュン」(オリジナルコンセプトアート:Jennifer Wuestling

Q. 制作で苦労したことはありますか? 新しい学びはありましたか?

美観とデザインの面で、「ミス・フォーチュン」は大きな挑戦でした。リファレンスにしたのは傑作と呼べるスプラッシュアートで、それが非常に高い基準となりました。最初の課題は、単に 3Dに変換するだけではなく、自分の作品と Jennifer の作品が同じ世界観の中に存在し、同じマーケティングキャンペーンの一部であるように見せることでした。成功したかどうかはわかりませんが最善を尽くし、多くのことを学ぶことができました。このようなリファレンスで作業する場合、基本的に視点は1つしかないため、残りの角度については自分で決め、どのようにストーリーを語るかを考えなければなりません。

2つ目の課題はより技術的な「リアルタイムライティング」です。仕事では、モデル、テクスチャ、シェーダ、グルームを作成しますが、プロの環境でライティングを行うことはありません。リアルタイムレンダリングでは、V-Ray などのオフラインレンダラーのように、設定なしですぐに使える美しいレイトレース影がありません。それでも柔らかい雰囲気を作りたかったので、予想以上に時間がかかる挑戦となりました。

「ミス・フォーチュン」

Q. 仕事や個人プロジェクトで他に使用しているソフトはありますか?

プログラムをマスターしたと思ったら、昨日学んだワークフローが今朝にはもう時代遅れになっている、なんてこともあります。

私が使っているソフトの例として、素晴らしい ZWrap を挙げましょう。この傑作ツールを作ったチームには本当に感謝しています。ZWrap と XYZマップ を組み合わせて、わずか12分で肌の表面ディテールを作成する画期的なワークフローを見たとき、衝撃を受けました。このビデオは、私にとって Mari のワークフローを一瞬で過去のものにしました。何年もの間、モデラーたちは XYZマップを投影するために Mari を使っていましたが、時間がかかる上に修正が必要などの課題もありました。ZWrap は毛穴を作成するプロセスを不要にしてくれたので、今では経験の浅いアーティストにこのタスクを任せても、きちんと仕上げてくれます。

日常業務で使っているもう1つのソフトは V-Ray です。以前、Snowball VFX でディズニー番組の何時間ものアニメーションをレンダリングするために V-Ray を使用していました。近年は Substance 3D Painter の大きな助けを借りながら、Maya 用の V-Ray でシェーディングネットワークを作成しています。

★Killer workflow using XYZ and Zwrap(11分)

「World of Warcraft Creature Sculpt」

Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあれば おしえてください

業界に足場を築こうとしている ジュニア アーティスト なら、コミュニティで存在感を示すため、常に個人制作を行う必要があります。作れば作るほど上達し、採用される可能性も高まるでしょう。個人制作は素晴らしいことですが、実行するのはなかなか難しいものです。私たちには皆生活があり(家族との時間、体調不良の日、ジム通い)、モチベーションが湧かない日もあります。このテーマについては多くの「自己啓発に関する書籍」などで語られているので、特別な新しいことを言えるわけではありません。ただ、私自身にとって効果的だった方法をお伝えします。それは「チャレンジ」を活用することです。

それはコミュニティのチャレンジだけでなく、個人的なチャレンジも含まれます。常に自分に挑戦し、自分と競い合い、完成した作品を祝い、3dtotalArtstationInstagram などでもらった「いいね」やフォロワーの一つひとつを喜びましょう。こうした小さな積み重ねが、あなたの周りにクリエイティブな雰囲気を生み出し、仕事が得られるまで前に進ませてくれます。この旅で大事なのは、目標を設定してそれを達成することです。

ただし、達成できない目標を設定しないでください。失敗はあなたを落ち込ませ、「敗者」であるという印象を生み出してしまうでしょう。何ができて、何ができないかは問題ではなく、自分自身に非現実的な基準を設定することが問題なのです。誰でもある朝 目覚めて「十分にトレーニングすればオリンピックでメダルを獲得できる」と言うことはできますが、実際に成功するのはほんの一握りです。完全なキャラクターを作ったことがないなら、まずプロップから始め、次に顔、最後に全身へと進みましょう。小さく達成可能な目標を設定し、それをクリアし、コミュニティと共有して、次のチャレンジに進んでください!


「Kasey and Mac | Metropia 2042 challenge」

Q. 芸術的な目標はありますか?

作品制作に費やす時間が長くなるにつれて、全体的なデザイン、構図、アピールにより重点を置くようになってきました。私はグラフィックデザインを4年間学びましたが、そこでは常に技術的な知識よりもストーリーとアピールを優先するように言われていました。問題は、講師たちが私たちより10年以上経験があり、彼らにとってそれは当然の判断だったことです。しかし、技術的な知識が足りず何も作れない学生にとって、この助言は違和感がありました。モデリングの方法すら知らないのに、どうやって優れたデザインのキャラクターを作ればよいのでしょうか。時間が経つにつれて、私も「アピールが最も重要な部分である」という考えに賛同するようになりましたが、経験の浅いアーティストには当てはまらないと思います。

こうした経験を踏まえて、今後は作品の美的な部分をさらに磨き上げることに重点を置いていきたいと考えています。また、私が深く憧れているヨーロッパ文化により近づくために、ロンドンへの移住も視野に入れています。

「Dune | Bene Gesserit | Unreal Engine 5」

★Dune | Bene Gesserit | Unreal Engine 5(1分54秒)

「The Witch」

Q. 近年の活動についてお聞かせください

数年前に YouTubeチャンネル を立ち上げ、コミュニティ向けにユニークなコンテンツをアップロードし始めました。誰もが共感できる、新鮮で楽しいコンテンツを心がけています。それに加えて、cgtarian.com で映画制作パイプライン向けのキャラクターメイキングに関する 80時間のコースを作成しました。「ハーレイ・クイン」を私なりに解釈して制作したので、チェックしてみてください。

「ハーレイ・クイン」

ハーレイ・クインのキャラクターメイキング(https://www.artstation.com/artwork/dO20ox

★ブレイクダウン(3分41秒)

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編集:3dtotal.jp