【特別寄稿】造形家 / 映画監督 片桐裕司の いろいろあっていいんじゃない?|エピソード88:構成の重要性 -『頑張れ すもうジョーンズ 4』
ハリウッドで彫刻家、キャラクターデザイナー、映画監督として活動。日本で開催する彫刻セミナーは毎回満席の片桐裕司さんのエッセーです。肩の力を抜き、楽しんでお読みください!

エピソード88:構成の重要性 -『頑張れ すもうジョーンズ 4』
さて、今週もお待ちかね!『頑張れ すもうジョーンズ!』のパート4 です。不気味な老人の不気味な動きを練習する すもうジョーンズ と 監督だが...
これまでのエピソードはこちら ↓
・パート1 >>> エピソード85:コメディ『頑張れ すもうジョーンズ!』
・パート2 >>> エピソード86:スター・ウォーズ と すもうジョーンズ
・パート3 >>> エピソード87:夢と目標 -『頑張れ すもうジョーンズ 3』
現在、私の 彫刻セミナー のために日本に来ています。今回のクラスは「キャラクター造形クラス」といって「なんでも自分の好きなものを作っていい」というクラスです。
生徒たちの作品。すごいバラエティですね
常日頃「なぜできないのか?」「どうやったらもっとできるようになるのか?」を考え、その出た答えを実践し、指導を続けて、成果を出しており、これまでで、受講生が 1100人を超えるまでになりました。そして、これだけ多くの人たちの指導をしてきて、私自身も学ぶものが多くありました。
その中の1つに「構成」というものがあります。もちろん、前々から その重要性はわかってはいたのですが、「本当に大事なんだ」との実感が年月を追うごとに強くなってきました。人の顔やキャラクターを造形、デザインするにしても、まず、一番大事なことは、この「構成」というものになります。
多くの人(特に初心者)が作った人の顔を見ると、目や鼻や口を一生懸命見て作ろうとします。そして、それは、当たり前に聞こえると思うのですが、実は、最初は「よく見ない」事が大切になります。
どういうことかと言いますと、部分を「よく見ない」事により、全体の構成を見る事ができるのです。つまり、作るものを構成するバランスを捉えやすくなるのです。出来る人と出来ない人の大きな違いは、この構成力だと思います。構成がしっかりしていると、細かくしなくても、ちゃんと見えるのです。すごく上手い人がチャチャっと短時間で描いた絵や彫刻がよく見えるのは「構成」がしっかりしているためです。私は長年の造形の仕事を通じて、この「構成力」を身につけたと思います。そして、それは、あらゆるものに使える能力になります。
今まで映画の脚本も書いてきましたが、まず重要になるのは「構成」になります。物語全体のバランスです。何か目標を持って、それを成し遂げるためにする事をスケジュールするのも「構成」になります。ご飯を作るのも、完成をイメージした中で、どのように効率良く材料を準備して作るのかというのも「構成力」が関わってきます。
簡単に言えば、「構成力」というのは、ゴールに向かって大雑把な枠組みを作る能力ですね。そして枠ができたら、あとは「部分」を細かくしていけば 完成するわけなのですが、大枠を見ないで、部分を一生懸命やっても 効率がとても悪いのです。
しかしながら、7/30 から渋谷で上映する『ゲヘナ~死の生ける場所~』。資金集めから本格的な映画撮影。そして配給と、すべてのことが初めてだったので「構成力」も何もなかったです(笑)。
▼『ゲヘナ』メイキング&裏話(GEHENNA ~その軌跡)
https://3dtotal.jp/?s=GEHENNA+%EF%BD%9E%E3%81%9D%E3%81%AE%E8%BB%8C%E8%B7%A1
しかし、映画作りのすべてのプロセスを経験した これからは「構成」を大事にして動いていこうと思います。まずは、1つの到達点である 映画『ゲヘナ~死の生ける場所~』の渋谷上映(7/30~8/5 渋谷 ユーロライブ)、見に来てください! 必ず「来てよかった!」と思えるような上映会にするつもりです。
▼『ゲヘナ』渋谷上映。詳細・申込は こちら >>> http://gehennafilm.jp/
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