Cinema 4D + After Effects による無重力ショット:『Elevation』のメイキング
ドイツの映像制作会社 Mondlicht Studios のチームが、Motion Design Awards のために制作した動画『Elevation』について解説します
ドイツの映像制作会社 Mondlicht Studios の Nikolay Okolita氏 と Dmitriy Glazyrin氏 が 3dtotal のために特別なチュートリアルを用意してくれました。Motion Design Awards のために制作した動画『Elevation』について解説します。(※主な使用ツール:Cinema 4D、After Effects)
はじめに
この動画は、モーションデザイン コミュニティの支援のため、2020年の厳しい時期に制作されたものです。私たちは家に閉じこもり、生活の場をデジタル空間に移すことになりました。それは、今日のような変化を必然的に加速させました。
クリエイティビティ(創造性)は、スクリーンを通して私たちの世界に影響を与えます。そこで Mondlicht Studio は、現実の世界とデジタルの世界を融合させることを思いつきました。
01 リファレンスと構図
本作は、90年代末のドイツの雰囲気をイメージして撮影されました。ボヘミアンスタイルと挑戦的な社会文化の変化を組み合わせ、この時代ならではのユニークなスタイルが生まれました。特に、映画『アトミック・ブロンド』(2017年)と『サスペリア』(2018年)のインテリアから影響を受けています。
映画『アトミック・ブロンド』のシーケンス
この視覚的な課題を解決するために、チームは Quixel Megascan と、有名なプラットフォーム(CG Trader、TurboSquid など)の3Dモデルを使用しました。
既製のアセットを使用
02 ムードとデザイン
すべてのアセットが集まったら、構図を考えていきます。インテリアデザインでは、雰囲気を出しつつも、描きたい時代やムードとの結びつきを失わないようにすることが大事です。シーンのあらゆるディテールはその役割を果たし、イメージを向上させ、構図や色彩のバランスをとるのに役立つでしょう。
ボヘミアンスタイルの絨毯などのインテリア
03 ライティングとカメラ
複雑なライティングは、美しいシーンの重要な要素の1つです。そのため、チームはグローバル光源とローカル光源に取り組みました。シーンに奥行きを持たせたいなら、VDB FOG などを使用しましょう。
ライティングと奥行き
モーションカメラのセットアップでリアルなカメラの動きを作成し、広角レンズで部屋の奥行きとスケールを強調しています 。
カメラのセットアップ
このシーンで最も大変だったのは、「重力の喪失」に関わる部分です。この効果を出すため、チームはシーン内のすべてのアセットをアニメートする必要がありました。シーン内のオブジェクトは静止しているのではなく、上に向かって動いています。そのため、すでに動き始めているようにオブジェクトを配置し、その後も上昇を続けているようにアセットを論理的にアニメートしています。
上に向けてアセットをアニメートします