2時間で描くコンセプトアート:「ファンタジー:静寂」

05 形状の洗練

ここで形状を洗練していきます。このシーンでは抽象的なものを表現するため難易度も高めですが、気負わないようにしましょう。手順どおりに進めれば十分です。壁にぶつかったときは別の要素に取りかかり、そこで解決策を模索してみましょう。手応えを感じたら、また最初の問題に戻り作業を続けます。

まだイメージの中心にある柱のような構造物を上手く表現しきれていません(別の状況であれば上手く機能したかもしれませんが)。そこでこの構造物を地面と雪に滑らかにつなげ、周囲の形状を改良します。

図05:形状を洗練して、構造物と地面のつながりを滑らかにします

06 構造物の調整と大気の追加

主な構造物に手を加え、鉄でできた巨大な砦を表します。良いシルエットができ上がったら、穴をあけて奥行きとスケール感を与えてください。次は大気を描いて、構造物を互いに切り離しましょう。

もう少し大気が必要なので太陽と霧を調整し、豊かな雰囲気を作り出しましょう。小さなハイライト・隆起線・光を反射する鉄のパーツを追加、ボリュームを表現します。奥の構造物の突き出した部分に雪を配置してパースを出し、建物のボリュームをさらに洗練していきます。

図06:太陽光と霧を調整して、大気に厚みを出しましょう

07 視線の誘導

地面と突き出した鉄の柱に積もっている雪を洗練して、中央の主要な構造物に鑑賞者の視線を引きつけましょう。構図を設定して主要な線を描けば、構造物が作るカーブに沿って視線を誘導できます。このカーブは、境界線に向かう鑑賞者の意識をブロックし、中心に焦点を合わせてくれます。

雪から舞い上がる蒸気によって距離が遠ざかり、このイメージが持つ壮大なスケールを引き立たせます。大気にも同じような効果があるので、霧状の雲を上部に追加して砦を包み込みましょう。

図07:前景の形状が鑑賞者の視線を誘導します

08 スケールを表現して、ペインティングは完了です!

最終ディテールに取りかかりましょう。スケールを相対的に表現する最適な方法は、人間の配置です。今回は砦に向かって進む、数名の流浪の戦士をペイントしました。彼らがストーリーを紡ぎ、ここで起きていることを伝えてくれます。また、鑑賞者はこのキャラクターに自分自身を投影できます。

このステップで注意するもう1つの要素は、ハードエッジとソフトエッジです。これらのバリエーションが構図の流れを生み、目を休めたり、先に進めてくれます。これは「強烈な太陽・柔らかい雲のフォーム・メインの構造物の周り」など、砦の左側で顕著です。砦の下には鋭いエッジがあり、雪の上に見える柔らかいマークは、風が雪をさらっていくことを表しています。

前景の柱の対称性が気になるので、右側の柱を大きくしました。バランスは均一性や対称性だけではなく、「大と小」「左と右」など、イメージ全体の要素から成っています。良いリズムと流れを意識し、鑑賞者の目を滑らかに導いて、最高の景観を表現してください。

 

図08:最終イメージ

※本チュートリアルは、書籍『スピードペインティングの極意』からの抜粋です

 


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翻訳:STUDIO LIZZ
編集:3dtotal.jp