『ウォーキング・デッド』、リック・グライムズのスカルプト
3Dキャラクターモデラー Ricardo Luiz Mariano氏が、ZBrushによるリック・グライムズのメイキングを解説します

こんにちは。ここ数か月、私は、キャラクタースカルプトの作成と、新しい手法の学習に時間を費やしています。ここでは、ドラマ『ウォーキング・デッド』の主人公、リック・グライムズのスカルプト研究に取り組み、本物らしい自然な顔、あごひげ、髪の毛を組み込むことに焦点を当てます。これから、リアルな髪の毛やスカルプトについて、私のワークフローとプロセスを皆さんと共有したいと思います。
リファレンス画像
新しいプロジェクトを始めるときは、いつも、リサーチとリファレンス画像の収集に時間を費やします。今回は「リック・グライムズ」です。より多くのアングル(最低でも正面、プロフィール、3/4ビュー)で、対象となるキャラクターの写真を探すことが重要です。さまざまな表情の写真もいくつかあると役立ちます。
リファレンス画像
3Dスカルプト
私の大のお気に入りのツール、ZBrush でスカルプトします。ベースメッシュコレクションがあれば、モデルの大まかな形状を作る上でも、手早くこなせるでしょう。モデリングでは、メッシュを細分割しすぎないようにしてください。基本フォームで進める方が簡単です。さらに、低解像度でダイナメッシュ(DynaMesh)を使うと便利です。基本フォームの準備ができたら、求める形と似てくるまで必要なだけ細分割できます。通常、似る/似ないを左右する1つのポイントがあります。リックの場合、それは「目」です。そっくりなキャラクタースカルプトを制作するときに役立つツールが、モデルとリファレンス画像を比較可能な[Spotlight]です。
顔のブロッキング
[Spotlight]
髪の毛、眉毛、ひげ
髪の毛を生やす場所にマスクを作り、髪の流れを作るために、ワイヤを追加しましょう。まず、マスクを配置、髪の毛用の新しいメッシュを抽出。ダイナメッシュ(DynaMesh)を適用して作りたいフォームに調整します。このモデルは最終形ではないため、ディテールは多くありません。最終的な髪の毛を作成する際のガイドとして使います。
髪の毛のブロッキング
眉毛では、まず、ダイナメッシュ(DynaMesh)でリファレンスをモデリングします。次に、ZSphereでベースワイヤを作成、それぞれの毛を作ります。リアリティを出すために、毛を複製してサイズを調整、リファレンスをガイドにして1つずつ配置していきます。
眉毛
同じ方法でひげを作成しますが少し複雑です。眉毛と同じようにベースワイヤを作成、5つのワイヤでループを構成します(各ワイヤを複製して、形に変化をつけます)。首の近くでは、毛の向きを変えるというよりもまばらにして、不規則な感じを出します。さらにリアルな質感を出すため、毛穴をいくつか追加しました。
ひげ
髪の毛のディテールは、ひげと多少異なりますが、基本的に同じようにつけます。ZSphereで毛(ワイヤ)を作成、いくつかの形で違いを出します。ひげのプロセスは不規則でしたが、髪の毛ではさまざまな形の髪の塊(毛束)を作り、頭部をすべて覆うまで組み合わせていきます。
髪のディテール
ファブリック(布地)
ファブリックは、プロセスの中で最もシンプルです。すべての衣服をモデリングした後、UVを開いて、ループしたファブリックノイズを適用しました。縫い付けには、ZBrushのブラシパターンを使用。ジャケットは [Intensity]:100%のストロークとアルファをセットした[Standard]ブラシで作成しました。
衣服
レンダリング
レンダリングはシンプルな設定です。[Blinn]マテリアルを[Specular]:15で使用し、基本的なサブサーフェス スキャタリング(SSS)を生成するため、[Wax Modifiers]を適用しました。Photoshopでは、高解像度にするため大きめのファイルを作成。Diffuse(拡散):100%、Dept(深さ): 40%、Shadow(影):40%とマスクで調整しました。
レンダリングの詳細
完成イメージ