小型肉食恐竜 ラプトル風クリーチャーのメイキング

インドネシアのキャラクターアーティスト Joshua Wu氏の素晴らしいラプトル風クリーチャーのメイキングから、テクニックや時間節約のコツを学びましょう(ZBrush使用)


Joshua Wu
キャラクターアーティスト


作業を始める前に明確なアイデアがあれば、すべてのプロセスを効率化できます。まず「どんなクリーチャーを作成したいのか」を考えましょう。「生息地は?」「食物は?」「大きさは?」 今回は、最初から作成するクリーチャータイプについて大まかなアイデアがありました。それは「ラプトル(猛禽類、小型肉食恐竜)」です! では「どんなラプトルでしょうか?」「古代生物? それともSFのクリーチャーですか?」 こうして、たくさんの疑問を自分に投げかけると、初期段階で、かなり良いアイデアにたどり着けるでしょう。

ステップ01:スカルプト

ZBrushPhotoshop のみで進めて、作業を高速化します。作成するクリーチャーのアイデアがはっきりしたら、ZBrush のダイナメッシュ(DynaMesh)で基本形状を大まかに作成。できるだけ長い間、低いサブディビジョンレベルで作業することが大事です! 最初からディテールの作成に進むミスを犯してはいけません。ビデオゲームや映画でも、確固たるシルエットがあれば、遠くからでもモデルを簡単に認識できます。強力なシルエットによって、クリーチャーの特徴がはっきり出ます。

意のおもむくままにスカルプトします

ステップ02:ZRemesher

ベースシェイプとデザインを大まかに作成できたら、スカルプトを複製。セカンドディテールパスに適切なトポロジを配置できるように、ZRemesher を実行します。旧メッシュ(ダイナメッシュ)と新メッシュ(ZRemesher を実行したもの)を選択、[Project All]ボタンでディテールを転送してサブディバイド(細分割)しましょう。モデルをサブディバイドするときは、その都度[Project All]ボタンを押します。

メッシュの密度に満足できるまでメッシュの分割を繰り返したら、次のディテールパスに進みましょう。これでスカルプトをする準備が整いました。

メッシュを複製し、ダイナメッシュモデルに ZRemesher を適用

ステップ03:ディテール

ディテールのスカルプティングではアルファを多用せず、半分は手動で作成。鱗に関しては、1つずつスカルプトすると、時間がいくらあっても足りないので、Google で鱗のアルファと写真テクスチャを検索します。アルファを使うときは、メッシュのサブディビジョンレベルを高くすると良好な結果を得られるでしょう。作業後はメッシュのクリーンアップを行なってください。アルファの上からスカルプトすると、きれいに鱗がなじみます。常にクリーンなメッシュで作業することを心がけましょう。

ステップ04:テクスチャ

このクリーチャーのテクスチャリングは、楽しいプロセスでした。これによって、全体的な雰囲気が変わってきます。今回は実在のクリーチャーではないので、テクスチャリングは好き勝手にやるつもりでした。しかし、どのようなルックになるか見当もつかないので、たくさんのリファレンスを収集することから始めました。主なリファレンスに、ヘビ・ワニ・コモドドラゴンを使用しています。繰り返しますが、リファレンス収集はとても重要です。主なリファレンスを選んだら、クリーチャーのベースカラーを大まかにペイントしていきます。私は1.5時間程度かけて作成しました。