ZBrush使用、キャラクターのベースモデルの作成

11. 前腕

最も単純化した前腕は「ボックス」と捉えることができます。しかし、連結して、いくつかの層(筋肉や脂肪など)を上に重ねると、「円柱」のようになります。それを踏まえ、大腿と下腿で行なったように、上腕から前腕を作成しましょう。

[X]キーを押してシンメトリをオン、[移動]モードに切り替え、[Ctrl]キーを押しながらトランスポーズラインの内円をドラッグして、上腕を複製します。続けて、中央の白い内円で、それらを適切な位置に移動させましょう。

繰り返しになりますが、上腕を細かくスカルプト・編集する必要はありません。ベースメッシュが完成するまで、当面は基本形状の配置にのみ、集中してください。

11a:トランスポーズラインで上腕を複製し、前腕の位置に移動させます(前面)

11b:複製した腕のメッシュをやや前方に動かしています(スリークォータービュー(正面斜め前))

11c:ずれている前腕を適切な位置に移動します(側面)

11d:複製して、位置調整している前腕(背面)

12. 首

首の作成はシンプルで、ほとんど編集する必要がありません。首のベースメッシュを[Insert Cylinder]ブラシで作成。このブラシは今まで使っていた[InsertSphere]と同様に[ブラシ]パネルで選択できます。円柱を配置し、必要であれば[Transpose]ツールの[移動]モードで首の長さを、[回転]モードで角度を調節して、直立にします。

12a:[Insert Cylinder]ブラシで、ごくシンプルな首をプレースホルダとして追加します(前面)

12b:[Transpose]ツールで首の長さと角度を調節し、より自然に見せます(スリークォータービュー(正面斜め前))

12c:[Transpose]ツールで首をより直立的な姿勢にします(側面)

12d:首を配置する過程(背面)

13. 頭部

頭部は、多くの面と細かいプロポーションで構成されている複雑な部位です。とはいえ、私たちは他人の頭部を見て1日の大半を過ごしているので、おかしなところがあるとすぐに「違和感」を持ちます。ここでは、新たなリファレンスを探して、頭部に関する知識を強固にしておきましょう。

[Insert Sphere]ブラシで首の上に球を追加、シンメトリをオンにして、[Move]ブラシで大まかな形状を注意深くスカルプトします。頭蓋骨の背面は微調整するに留め、できるだけ丸みを残してください。そして、[Move]ブラシで下部を引き出して顎を作り、顔の基本的な面が判別できるように定義します。この作業では、平面で区分された頭部リファレンスが参考になるでしょう。

13a:シンプルな球から頭部ベースメッシュを成形します(前面)

13b:[Move]ブラシで頭蓋骨の面を成形しています(スリークォータービュー(正面斜め前))

13c:[Move]ブラシで下部を引っ張り、下顎を形作ります(側面)

13d: 頭蓋骨の背面を見ると、側頭部がやや平らになっています。それ以外の調整は施していません(背面)

14. 足

足には体重を支えるための複雑な機能があります。足の構造は皆同じですが、形状は人それぞれ微妙な違いがあり、接地しているときに顕著です。 例えば、George Bridgman(ジョージ・ブリッジマン)の足のイラストを見ると、複雑なフォームでも ZBrush で再現できそうな複数の基本形状に分解されています。

ここでも、スカルプティングの参考となる新たなリファレンスを探してみましょう。自分の足を撮影してもかまいません。Bridgman は、足を2つの大まかな形状に分けています。まずシンメトリをオンにして、[Insert Sphere]ブラシで球を追加。次に[Move]ブラシで形状を大まかに作ります。さらに、スカルプティング初期段階で、足底(足の裏)を平らにしておきましょう(実際は平らではありません)。

これを行うには[ClipCurve]ブラシが便利です。カットしたいエリアの上で、[Ctrl]+[Shift]キーを押しながら線をドラッグしてください。線から出ている影は、メッシュを平らにする方向を示しています。左右のどちらから線をドラッグするかによって、カットする方向が変わります。

14a:[Move]ブラシで球を引っ張って足の形をつくり、さらに[ClipCurve]ブラシで足底を平らにします(前面)

14b:足を配置・スカルプトする過程(正面斜め前)

14c:足とかかとの形状がよく分かります(側面)

14d:かかとの形状と[ClipCurve]ブラシで平らにした足底の結果が分かります(背面)

15. 手

手を苦手とするアーティストは多く、誤った形状になりがちです! 複数の単純なキューブ(あるいはキューブと円柱)と考えるとイメージしやすいですが、ここでは、[Insert Sphere]ブラシで単純な球を追加します。シンメトリをオンにして両手を追加、[Move]ブラシで手の塊を成形し、親指の部分を加えます。

15a:手はシンプルな球から作ります(前面)

15b:[Move]ブラシで手をやや平らにして、親指の形状を簡単に加えます

15c:手を配置し、[Move]ブラシで形作る過程(側面)

15d:平らになり、カーブが加わっただけのシンプルな形状に注目してください(背面)

 

このチュートリアルは、書籍『ステップアップのための ZBrush ガイド』 の 3章「女性戦士のスカルプト」からの一部抜粋です。書籍では、このベースモデルを基に、キャラクターを完成させます(※付属ダウンロードデータあり)。また書籍では他に 「エイリアン」や「歩行メカ」のスカルプト。そして、「KeyShot レンダリング」や「3Dプリントの手引き」といった内容を掲載しています


書籍『ステップアップのための ZBrush ガイド』

- Beginner's Guide to ZBrush -

制作:3dtotal.com
定価:本体5,400円 + 税
ISBN:978-4-86246-416-3
サイズ:215 x 279 x 15 mm (A4変型)
総ページ数:264頁(カラー)
発行・発売:株式会社ボーンデジタル

>>> 書籍紹介ページ(※全ページ(英語版)チラ見映像あり)
https://3dtotal.jp/books/12568/

 


翻訳:STUDIO LIZZ
編集:3dtotal.jp