【特別寄稿】造形家 / 映画監督 片桐裕司の いろいろあっていいんじゃない?|エピソード76:映画『ヘルボーイ』と一大決心

ハリウッドで彫刻家、キャラクターデザイナー、映画監督として活動。日本で開催する彫刻セミナーは毎回満席の片桐裕司さんのエッセーです。肩の力を抜き、楽しんでお読みください!


片桐 裕司 / HIROSHI KATAGIRI
彫刻家、映画監督

東京生まれ、東京育ち。1990年、18歳のときに渡米。スクリーミング・マッド・ジョージ氏の工房で働きはじめる。98年にTVシリーズ『Xファイル』のメイクアップでエミー賞受賞。その後、『ターミネーター』『エイリアン』『ジュラシックパーク』のキャラクタークリエーション等で有名なハリウッドのトップ工房スタンウィンストン スタジオのメインアーティストとして活躍(2000〜6年)『A.I.』『ジュラシックパーク』『タイムマシーン』『宇宙戦争』等の制作に携わる。現在、フリーランスの造形家、映画監督として活躍中。
東京生まれ、東京育ち。1990年、18歳のときに渡米。スクリーミング・マッド・ジョージ氏の工房で働きはじめる。98年にTVシリーズ『Xファイル』のメイクアップでエミー賞受賞。その後、『ターミネーター』『エイリアン』『ジュラシックパーク』のキャラクタークリエーション等で有名なハリウッドのトップ工房スタンウィンストン スタジオのメインアーティストとして活躍(2000〜6年)『A.I.』『ジュラシックパーク』『タイムマシーン』『宇宙戦争』等の制作に携わる。現在、フリーランスの造形家、映画監督として活躍中。

エピソード76:映画『ヘルボーイ』と一大決心

映画『ヘルボーイ』(2004年) は Spectral Motion(スペクトラル モーション)という、当時、新しい特殊造形スタジオが受けた仕事でした。

映画『ヘルボーイ』(2004年)

Spectral Motion の社長である Mike Elizalde(マイク) は、以前、他のスタジオで、映画『ブレイド2』の仕事のメカのスーパーバイザーとして雇われた時に ギレルモ・デル・トロ 監督と非常に仲良くなりました。そして、監督は、次の作品『ヘルボーイ』の造形物の仕事を、当時、工房を持っていなかったマイクにどーんと与えて、それをきっかけにスタジオを立ち上げるというアメリカンドリームな事になったのでした。

さて、この映画で私が最初に作ったのは、映画の後半で、ヘルボーイが異次元空間の扉を開けた時に宇宙空間にふわふわ浮かぶクリーチャー "Ogdur Jahad"(オルクド・ジャハド)のCGスキャン用の造形でした。

クリーチャー Ogdur Jahad(オルクド・ジャハド)

その後は Sammael(サマエル)という メインの敵クリーチャーの体の造形をしました。

敵クリーチャー Sammael(サマエル)

Sammael の頭部は Steve Wang(スティーブ・ワン)の造形で、体が私の担当でした

でかい!!

このように、台に乗りながらの造形で、結構大変でした。新しいスタジオですっごく狭かったので、とにかく、後ろに下がって全体を見れない。離れて見るときは、他の人のテーブルを回り込んで見なければいけないという、無駄に大変な造形でした。まあ、この仕事は特筆するような変わった出来事もなく、すべて順調に進んだのでした。つまらなネタですみません。

しかし、この仕事が終わって暇になった時に「映画監督になる」という一大決心をして、新しいコンピューターとビデオカメラを購入して映像制作を始めたという記念すべき仕事でもありました。そして、それから、実際に長編映画を作るまでに10年以上かかりました。「諦めずに工夫して続ければ道は見えてくる」 今は そう確信しています。

あと、この映画の後 Sideshow というコレクターズアイテムを作る会社の仕事で「ヘルボーイ」のエイブを造形しました。

「ヘルボーイ」のエイブ

ちなみに、映画で、このエイブを演じているのは Doug Jones(ダグ・ジョーンズ)です(※このエッセーでも、彼を何度か取り上げましたが、デル・トロ監督のアカデミー受賞作品、映画『シェイプ・オブ・ウォーター』では半魚人を演じています)。彼は有名なクリーチャーアクターで、私の監督映画『ゲヘナ:死の生ける場所』で不気味な老人を演じてくれています。

映画『ゲヘナ:死の生ける場所』、東京で この夏公開!

そして、その映画『ゲヘナ:死の生ける場所』ですが、日本では、東京で この夏公開!
ゴールデンウィーク明けに情報解禁です!!

 

★バックナンバーはこちらから

■片桐裕司さんのブログ
http://blog.livedoor.jp/hollywoodfx/

■ハリウッドで活躍するキャラクターデザイナー 片桐裕司による彫刻セミナー
http://chokokuseminar.com/