プロが語る3Dテクスチャリングのヒント10
世界で最もエキサイティングな3Dアーティストたちが語る「何でもこなせる優れたアーティスト」になるための裏ワザ&ヒントを紹介しましょう
執筆アーティスト(ヒント提供)
コンセプトアーティストを3D世界の空想家とするなら、テクスチャアーティストは、それにディテール、細部の描写を加える人たちです。アルファベットの「i」のドット、「t」の横線の重なりに細心の注意を払い、すべての草の葉をきれいに仕上げ、新品のタンクに小さな錆をつけることを信条とします。こうした作業を当然と感じるのであれば、おそらく、あなたはテクスチャリングをすでに楽しんでいることでしょう。もし、そうでなければ、この記事を読み進めてください。エキスパートたちの助言によって、モデルに手を加える勇気をもらえることでしょう。
©Carlos Ortega Elizalde
「スカルプトソフトで、ディテールのすべてを作成する必要はありません。とりわけ、布や小さな繰り返しディテールのテクスチャリングでは Photoshop を利用しましょう」
- José Alves da Silva氏
ヒント1:メッシュはできるだけきれいに、トポロジは本物らしく
「私は、ヘアメッシュはできるだけきれいにモデリング、トポロジが本物らしい毛の流れになるようにします。そして、モデルをUV展開、トポロジのストリップを真っすぐに調整します。これで、引き伸ばした(またはPhotoshop の[ぼかし(移動)]を適用した)ノイズテクスチャで、様式化した毛束のルックを作成できます」(Andrew Hickinbottom氏)
1つ1つ毛束を調整します
ヒント2:スカルプト系ツールの使用
「Mudbox の[ドライ ブラシ](または、他のスカルプトソフトの同様なブラシ)ツールは使い勝手がよく、有機的・非有機的なサーフェス(表面)で古びた箇所を素早くペイントするときに便利です。凹凸部分だけを選択、外部にさらされ「損傷」を受けやすい部分を簡単にペイントできます。また、キャビティマップと合わせて、ハードサーフェスの錆や、有機的なオブジェクトの埃/泥を手早くペイントできます」(Carlos Ortega Elizalde氏)
埃や汚しを加え、全体的に不完全な質感にすることが肝心です
Carlos Ortega Elizalde氏は、テクスチャ制作でMudboxの[ドライ ブラシ]を多用します © Carlos Ortega Elizalde
ヒント3:ZBrush のポリペイントの活用
「私はモデルのポリペイントで、単純なカラースキーム(色彩計画)を行います。それらは、①メインカラー ②セカンダリ(第2)メインカラー ③メインカラーのバリエーション(明/暗) ④メインカラーと血の色をブレンドした暖かめのバリエーション ⑤彩度を落としたバリエーション ⑥パターンカラー です」(Luca Nemolato氏)
自分のやり方を考え出し、色とテクスチャを明確に保つ体系を作りましょう
ヒント4:法線(ノーマル)マップでディテールを加える
「スカルプトソフトで、ディテールのすべてを作成する必要はありません。とりわけ、布や小さな繰り返しディテールのテクスチャリングでは Photoshop を利用しましょう。まず、xNormal(※ Photoshop に使い勝手の良いフィルタをインストールします)のようなフリーソフトで、バンプマップを法線マップに変換(Height2Normals)。作成した法線マップを、元の法線マップ上に新規レイヤーとして追加します。最後に、描画モードを[オーバーレイ]に設定して完成です。また[塗り]の量の調整で、ディテール強度をコントロールできます」(José Alves da Silva氏)
ディテールは、モデル自体に必要ですか? 完成イメージにあればOKですか?
José Alves da Silva氏の作品を見れば分かるように、金属は表現の難しい、やりがいのある要素です © José Alves da Silva