ストーリーを語る 魅力的なキャラクターデザイン

ストーリーテリング、シェイプランゲージ、表情、色彩を網羅したアニメーションのキャラクターデザイン手法を Magdalina Dianova 氏 が紹介します


Magdalina Dianova
キャラクターデザイナー|ブルガリア


はじめに

このチュートリアルでは、デザインを通して ストーリーを語る魅力的なキャラクターを作成し、その思考プロセスを共有します。キャラクターの性格について アイデアを練るところから説明し(ブレインストーミング)、初期のラフスケッチから最終デザインまで、すべてのステップを紹介します。ストーリー、シェイプランゲージ、ジェスチャー、配色についても見ていきましょう。

01 キャラクターを知る

まず、キャラクターの性格についてのアイデアを出し、それがどんな人物なのか考えます。必要なのは「キーワード」つまり出発点となるものです。私の頭に最初に浮かんだのは「antisocial (非社交的)」です。ここから基本的な質問を始めます。「なぜ このキャラクターは非社交的なのか?」
「それは人生にどう影響しているのか?」
「彼女は世界をどう認識しているのか?」

現実の人間と同じように、架空のキャラクターにも「ポジティブな面」「ネガティブな面」の両方があるはずです。こうした特性により、キャラクターは説得力を持ち、奥行きのある存在になります。

以下は、上記の質問に答えて、作成したキャラクターの簡単な説明になります:
名前は「Fey (フェイ)」。問題を抱えた家庭で育ち、まったく愛されていないと感じてきました。その結果、心を閉ざし、人々を遠ざけています。本当は優しく愛情深い心の持ち主ですが、それを見せることを恐れており、周囲にはネガティブな人物として映っています。孤独を紛らわせる彼女なりの方法は、音楽をたくさん聴くことです。

02 インスピレーションを得る

Pinterest を開いてインスピレーションを得ましょう。ここでは「Fey」にそっくりな女の子を探す代わりに、衣装や顔、部屋の写真や音楽アルバムまで、彼女を思い起こさせるものを探します。

実在の人物や映画の登場人物からインスピレーションを得るのは常に良いアイデアです。それらは個性豊かで、他の方法では思いつかないようなアイデアを与えてくれるかもしれません。

気に入ったイメージをすべて保存し、ムードボードにまとめます

03 スケッチ

さあ、描いてみましょう! 最初のドラフト(草稿)では、キャラクターの感覚や全体的な雰囲気を捉えることに集中し、ジェスチャー、シルエット、態度について考えます。

最初から正解を出そうとしていません。代わりに、少なくとも5-6種類のスケッチを作成するつもりです。良い絵にたどり着くには、まず、悪い絵を自分の中から出し切る必要があるのです。

面白いポーズを考え出すために、キャラクターを状況の中に置いてみましょう。「Feyは普段、何をしていますか?」「ボディランゲージは?」 最後のスケッチは、彼女が音楽を再生しようとしたところにクラスメートが割り込んでいる状況です。これによって、彼女がどう反応するかを考えざるを得なくなります。

スケッチ

気に入った絵ができたら、さらに描いて、これ以上良くできないか確認しましょう。「1番のスケッチ」が気に入りました。そして、それに手を加えたのが「4番のスケッチ (※ 1の頭部に 3の胴体)」です。

04 ラフドローイング

次は、デザイン、解剖学、表情についてさらに探求します。そのためにもう一度ストーリーテリングの要素に戻りましょう。Fey は幼い頃から誰にも頼らず、自分の力で生きてきた人物なので、安定していて強い印象を与えるはずです。

ここでは、それを伝えるためにシェイプランゲージを使います。彼女に 四角い顔とがっしりした指を与え、顔の周りの 髪の毛束も長方形にします。丸い顔立ちにすると可愛らしく無邪気な印象になりますが、尖った顔立ちにすると邪悪な雰囲気を醸し出します。そのどちらも今回のキャラクター特性にはふさわしくありません。

キャラクターの全身を描いてから、その上に衣服を着せましょう。これにより、キャラクターが立体的に見え、衣服の折り目をうまくデザインできるようになります

05 線画

線を整理し、ディテールを追加して、デザインをさらに進めます。私は、滑らかで完璧な線を目指しているわけではありません。スケッチの持つ「ゆるさ」を最終イメージにいくらか残しておきたいのです。

Fey の設定から「お気に入りの曲を邪魔されたら不快に感じること」がわかります。そのため、顔の表情でその感情をはっきりと伝えましょう。表情に深みを与えるために、怒りの中に少し悲しみのニュアンスを与えます。彼女はただ怒っているわけではありません。その怒りの奥には、深い感情と痛みがあるのです。

説得力のある表情を作るには、鏡を見てキャラクターになりきってみましょう。キャラクターのように見せようとするのではなく、感じようとするのです

06 カラーサムネイル

色を選ぶときは「肌の色」から始めます。これはルールではありませんが、私は以下のステップで取り組んでいます。まず、キャラクターが置かれているライティングの状況を想像し、肌の色を考えます。白人の場合、基本的なペールオレンジのトーンは避けましょう。この色は、魅力に欠けるカラーパレットになりやすいです。

キャラクターには 弱く冷たい紫がかった光が当たっていると想定します。それに応じて、肌の色を冷たく、彩度を抑え、暗めに設定します。次に 取り組む色は黒と白ですが、ここでも同じ原則を適用します。ペイントでは、純粋な白と黒を使わないでください。これらの明度は現実世界に存在しないため、イメージが平坦に見えてしまう可能性があります。私の「白」は実際には低彩度の紫色になり、「黒」は紫がかったグレーになります。理解しにくい場合は、カメラのホワイトバランス調整を思い浮かべてください。このステップでは、同じことを行なっています。

ここから、紫/赤系統の落ち着いた色と、アクセントカラーとして低彩度の黄色と明るいシアンを選択します。

上に新規レイヤーを作成し、黒で塗りつぶして[カラー]レイヤーモードに設定、明度を確認します。強い明度構造がなければ、どんなに良い色を選んでも意味がありません!

07 クリーンな線画に単色を加える

上記のサムネイルをデザインする際、キャラクターの性格を再度念頭に置きました。最初の2つの配色は良く見えますが、Fey には少しカラフルすぎるので、3番目の暗い配色を選びました。

キャラクターの個性をさらに表現するために、靴下の模様やメイク、マニキュアなどのディテールを追加します。この絵のちょっとした面白いタッチは、「左右で違う靴下」です。Fey は家で長い時間を過ごすのが好きではないので、おそらく急いで出かけようとして、目に入ったものをただ履いたのでしょう。

完全に暗いネガティブなキャラクターにならないように、見た目にも何かポジティブな要素を持たせたいと思いました。そこで、バランスを取るために大きなふわふわの黄色いバッグを持たせました。

Tシャツの絵柄に輪郭線がないことに注目してください。輪郭線を加えると注目を集めてしまいますが、それは この絵の焦点ではありません。必要のない場所にコントラストやディテールを加えるのは避けましょう。

08 影とハイライトを追加する

最後のステップでは、[乗算]または[オーバーレイ]に設定したレイヤーをいくつか作成し、暖色のグレートーンで影を追加します。脚のコントラストを少し弱めるため、暗くします。こうすることで、彼女の顔に注目が集まります。ただし、顔には影を加えません。顔が複雑になりすぎると、他の部分とのバランスが崩れ、イメージの一貫性を欠いて見えてしまいます。光は彼女から見て左側から来ているので、Tシャツのその位置にハイライトを追加します。また、眉の傷、ピアス、細い髪の毛、ヘッドホンケーブルなど、最終的なタッチとディテールも追加します。

服の絵柄をしわの上に描く場合、布のボリュームに沿うようにしましょう。これにより、さらに絵に深みが増します

★designing an APPEALING CHARACTER // Procreate(8分14秒)

プロのヒント:明度の確認

明度を頻繁にチェックして、鑑賞者に見てもらいたい場所に十分なコントラストがあることを確認します。このイメージでは、Fey の目と顔の肌の明度は ほぼ同じですが、色相がまったく異なるため、必要なコントラストが生まれています。

コントラストは明度だけでなく、色相でも作成できます!

★髪の毛の描き方:how to draw hair | tutorial(16分54秒)

▼ 関連情報:Magdalina Dianova 氏 の Patreon

 


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編集:3dtotal.jp