【インタビュー】新しいことを学び、経験を広げる:ライティング ジェネラリスト Prasanth Chundakkattil 氏

インド出身の Prasanth Chundakkattil 氏 が、その印象的な作品を紹介。アーティストとして成長し続けることへの情熱について語ります


Prasanth Chundakkattil
ライティング ジェネラリスト|インド


Q. 自己紹介をお願いします

インタビューの機会をいただき、ありがとうございます。名前は Prasanth、インド出身のアーティストです。Maya の資格コースを修了し、2007年に インド、バンガロールの Technicolor で ライティングアーティストとして働き始めました。最初の数年は、フルタイムのライターとして働き、現在は、映画、ゲーム、TVシリーズ向けの 3Dコンセプチュアル ビジュアル デベロッパーとして、主にライティングに重点を置いた業界での機会を探しています。

常に素晴らしいプロジェクトとチームを求めており、自分のスキルで貢献し、学べることは何でも吸収したいと思っています。新しいことを学び、経験を広げることにいつも前向きです。

「Craving (真夜中の衝動)」

Q. 制作ワークフローをおしえてください。アイデアはどこから得ましたか?

「Craving (真夜中の衝動)」についてお話ししましょう。これは、シングルフレームのレンダリング作品として制作したため、ワークフロー自体は特別なものではなく、一般的な手法を採用しました。制作のきっかけは「実際の写真をリファレンスとして、かわいいキャラクターでストーリー性のあるイメージを作ってみたい」と思ったのです。

日頃から、インスピレーションやリファレンス素材を得るために、心を動かされるような画像や動画を見つけては、スクリーンショットを保存するようにしています。幸運にも、周りのアーティスト仲間たちは皆、何らかの形で影響を与えてくれます。私自身も、常に訴求力のある作品を生み出すことを心がけ、ポートフォリオの更新に励んでいます。

「Craving (真夜中の衝動)」は、ウェブ上で無料ダウンロードできるさまざまなアセットを使って制作しました。レンダリングには MayaArnold、テクスチャには Quixel MixerSubstance 3D Painter を使用しています。なお、テクスチャの一部についてはダウンロードしたアセットに含まれていた素材をそのまま利用しました。

シーンにボリュームを使用するのが好きで、この手法により作品全体に自然な奥行きと一体感のある仕上がりを実現できています。髪の毛は Maya の nHairシステム(ペイントエフェクト機能)を使ってカーブから生成しており、右下に隠れているネズミとシャツの細かい毛には XGen も使用しました。

「Craving (真夜中の衝動)」

★Craving_DigiDistortion(24秒)

Q. 制作で苦労したことはありますか? 新しい学びはありましたか?

本作の課題は、適切なムード、色彩、焦点を表現することでした。これらを達成するには、ヘアメッシュからカーブを抽出し、そこに根気強くヘアを適用するなどの技術的な課題もありました。また、XGen のさまざまな工程も学ぶ必要がありました。

一方、Arnold は非常にユニークで、思いどおりの出力が得られるレンダラーなので、とても快適でした。シーンにボリュームを加えるのが好きなので、さらに学習を深めていきたいと思っています。

「The abandoned barn (朽ち果てた納屋)」

Q. 仕事や個人プロジェクトで他に使用しているソフトウェアはありますか?

シーン制作では、いくつかのソフトを少しずつ使っています。例えば、ディテールのスカルプトには ZBrushMudbox を使い、布の表現には Marvelous Designer を使うこともあります。アセットのUV展開は Rizom UV を使っています(これは本当に素晴らしいツールです)。Maya 用の業界標準レンダリングエンジンはほぼすべて試し、用途に応じて使い分けています。テクスチャリングには Substance 3D PainterQuixel Mixer を使っています。

★Course made for wingfox SceneBd(36秒)

Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあれば教えてください

ポートフォリオのアップデートは頻繁に行なっています。なぜなら、私にとって仕事は情熱であり、心から楽しめる趣味でもあるからです。常に頭の中で次の作品のアイデアを練っており、2Dのコンセプトアートなしで制作を開始します。通常は、フル3Dでシーンを制作しますが、意図的に避けている作業もあります。それはゼロからのモデリングです。必要なアセットをすべてモデリングせずに、フリーアセットを活用してシーン構築を始めます。制作過程で生じる技術的な疑問や課題については、インターネット上に存在する学習リソースやコミュニティを活用して解決しています。

本業の後は、日課として個人制作に時間を割いています。この継続的な取り組みを支えているのは、創作に対する純粋な情熱と、常に周囲から新しい知識や技術を吸収しようとする探求心です。作品のスタイルについては特定のジャンルに固執することなく、スタイライズされたカートゥーン表現からゲーム向けのビジュアル、映画的なコンセプトアート、シネマティックな演出まで、幅広いアプローチに挑戦することを心がけています。

これからアーティストを目指す方々へのアドバイスとしては、まず何よりも「自分が本当に創り出したいものを明確にイメージし、それに向かって夢を持ち続けてほしい」と思います。重要なのは「創作活動を単なる収入を得るための手段と捉えず、自己表現の場として大切にすること」です。日頃からアート関連のウェブサイトを積極的にチェックし、さまざまな作品からインスピレーションを受け取る習慣を身につけてください。そうした日々の積み重ねが、あなた自身の美的感覚や創造性を豊かに育んでいくことになるでしょう。

「デスモドゥス卿 ― 無慈悲なる吸血者」TDUライティングチャレンジ

Q. SNS を使っていますか、お気に入りのハッシュタグをチェックしていますか?

はい、もちろんです。日常的にさまざまな SNS やウェブサイトを利用しています。特に Artstation3dtotalFacebook を重宝しています。Artstation は主にインスピレーションを得るための情報収集源として使用しています。Facebook グループは、作品に対する建設的なフィードバックを受けたり、同じ分野で活動する仲間たちと有意義な交流を深めたりするのに欠かせないツールです。定期的にチェックしているハッシュタグもいくつかあります。#lighting#lookdev#conceptart#cgi#render は、私の専門分野と直結しているため、日々の学習や最新トレンドの把握に大いに役立っています。

「The Crash (墜落)」

Q. 芸術的な目標はありますか?

現在、ライティングとルックデヴを専門領域としながらも、より幅広いスキルセットを身につけた「セミジェネラリスト」への成長を目指して日々研鑽を積んでいます。CGI制作のあらゆる工程に魅力を感じており、それぞれの分野から学べることの多さに常に刺激を受けています。

私が理想とする完璧主義的なアプローチを実現するには、モデリングからアニメーション、エフェクトに至るまで、制作パイプライン全体への深い理解が不可欠だと考えています。そして最終的な目標として、業界をリードする大手スタジオの一員として働き、多くの人々に感動を与えるような映画や大型プロジェクトのエンドクレジットに自分の名前が刻まれる日を心待ちにしています。この夢の実現に向けて、一歩ずつ確実に前進していきたいと思います。

「1980年3月17日 ― フランスのドーフィネで始まる秘密任務」

Q. お気に入りのアーティストは誰ですか? 手描き/デジタルどちらでもかまわないので、理由も一緒におしえてください

特定のジャンルに限定することなく、多岐にわたる分野で活躍するアーティストたちを追いかけています。特に Marek Denko の大ファンで、彼は私が CG業界に足を踏み入れるきっかけとなった特別な存在です。彼の手がける作品は、今でも私の創作理念や技術的なアプローチに影響を与え続けています。

積極的にフォローしている才能豊かなアーティストとして、Rapfael LacosteIan SpriggsKris CostaGeorgian AvasilcuteiAntoine BoutinVladimir ManyukhinHristo ChukovCedric PeyravernayBen NicholasPascal BlanchéMarco Plouffe が挙げられます。

中でも、Marek DenkoKris CostaGeorgian AvasilcuteiPascal Blanché は経験豊富なベテランアーティストとして特に注目しています。彼らは SNS に積極的に参加し、私たちの創作意欲を刺激する貴重な作品をシェアしています。他にも学びを得られるアーティストは数多くいるため、アンテナを張って、自分にとって価値のあるものを見極めてください。

「Twilight (黄昏)」

Q. 近年の作品についてお聞かせください

個人制作では、エンバイロメント(環境)デザインに特化した 3Dコンセプトアート分野に踏み込んでいきたいと考えています。現在、Unreal Engine の習得に取り組んでおり、この強力なツールをさらに深く理解して、これまでとは一線を画す新しいプロジェクトをポートフォリオに追加していく予定です。特に Unreal Engine のレンダリング機能が持つ表現力の高さには目を見張るものがあり、リアルタイム環境下で実現できるビジュアルクオリティの進歩には驚かされています。この技術を最大限に活用し、リアルタイムコンセプトアート表現を次のレベルに押し上げたいですね。

「キッチンカー」

 


編集部のおすすめ:CG におけるライティングの基本を学ぶには、ディズニーやドリームワークスで活躍したベテランCGアニメーター/ VFXアーティスト Lee Lanier氏 の著書、書籍『CGライティングの最強の教科書』をおすすめします。

 


編集:3dtotal.jp