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チュートリアル

ZBrush使用 「サイボーグエイリアン」のメイキング(2)

制作:Tudor Fat

Web: https://www.artstation.com/artist/tudorfat

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※このチュートリアルはパート2です。
パート1は こちら をご覧ください。

スキンのディテール

大きなフォームを変更せずに、サーフェスのみをいじるディテール制作は最も面白い作業です。まず、新しいレイヤーを作成して、すべての要素を取得できるようにします。次に、万が一ブラシで描き過ぎた場合にすべてを元に戻せるよう、モーフターゲットを保存しておきます。キャラクターにアルファや切り取りを加える前に、この2点を行うことは重要です。レイヤーに作成すれば、後で変更の度合いを調整できます。もちろん、複数のレイヤーでいろいろ試しても良いでしょう。

それでは、頭部と胴体から始めます。Pixologic の Alpha Library からアルファをダウンロードして、それらをメッシュに追加してください。これは[DragDot]ストロークと低い強度の[Standard]ブラシを使用します。毛穴やしわなど柔らかいものから、割れ目やこぶなど固いものまでを整理して、個別に管理できるようにすべてのディテールを別レイヤーにセットします。[Symmetry]をオフにしてこの手順を進めると、スキンが自然に見えるでしょう(図15、16)。

図15、16:エイリアンのキャラクターにさらにディテールを追加

図15、16:エイリアンのキャラクターにさらにディテールを追加

装置のディテール

[DragDot]ストローク、[Z Intensity]を10に設定した[Standard]ブラシで、胴体のディテールを追加できたら、今度はキャラクターの移動装置とベストにアルファを追加していきましょう。この作業は比較的簡単です。モデルをシンプルに保つため、あまり追加する物はありません。[DragDot]ストローク、[Z Intensity]を30、Stroke > LazyMouse > LazyStep を0.05 に設定した[Slash3Line]ブラシを使用してください。

私はこのブラシで描けるラインを気に入っています。他にも素晴らしいブラシはたくさんありますが、[LazyMouse]を設定したこのブラシがお気に入りです(図17)。

図17:[Slash3Line]ブラシを使用して、移動装置にディテールを追加

図17:[Slash3Line]ブラシを使用して、移動装置にディテールを追加

アルファの作成

ディテールの一部に、オリジナルアルファを作成、使用しましょう(ダウンロードしたアルファ以外に、自作のアルファも利用します)。このプロセスも簡単です。まず、プレーンを作成・分割、[Symmetry]をオンにした状態で中央部分をモデリングしていきます。続けて、Alpha > Transfer > GrabDoc を選択すると、新しいアルファができているはずです(図18)。

図18:アルファをいろいろ試してみましょう

図18:アルファをいろいろ試してみましょう

作成したアルファをメッシュに適用した際に、違和感があったり境界が見える場合は、アルファの濃淡値をコントロールする[MidValue](Alpha > Modify)を調整します。好みの見た目になるまでいろいろ試してみましょう。

完成したディテールに満足したら、[Layers]パネルですべてのレイヤーをメッシュにベイク(Tool > Layers > Bake All)、確定しましょう。すべてのサブツールで、この操作を実行してください。

もちろん、[Noise]ツール(Tool > Surface)を使わなければいけない領域もあります。ウィンドウ左下の[Alpha On/Off]でアルファ機能を使用、好みの外観になるまで、[Strength]と[Scale]の値を調整します。修正したい箇所をマスクしてキャンバスで正面を向くように配置、[Apply To Mesh]でアルファを適用します(図19)。

図19:[Surface Noise]ツールを使用して、最適なエフェクトを生み出します

図19:[Surface Noise]ツールを使用して、最適なエフェクトを生み出します

ポリペイント

ポリペイントに進む前に、スリークォーター(斜め3/4)ビューからモデル全体のスクリーンショットを撮影して、Photoshop でカラーテストを実行しましょう。まず、画像を Photoshop に取り込み、描画モードを[オーバーレイ]に設定した新規レイヤーを追加。次に、色や明度を試して、どれが最適か確認。完了したら ZBrush に戻り、モデルのポリペイントを開始します。

サブツールが散らからないように、作業中に要素を整理しておきましょう。ディテールには、[Zsub]と[Zadd]をオフ、[Rgb]をオンにした[Standard]ブラシで、頭部と胴体にベースカラーを塗ることから始めます。

図20:モデルのポリペイントの第1段階

図20:モデルのポリペイントの第1段階

マテリアル

私が頻繁に使用するマテリアルは、便利な[BasicMaterial]です。まず、色がしっかり見えるように、スペキュラを下げましょう。色の観点から言えば、このキャラクターの胴体を暖色系の自然な色合いにして、胴体と移動装置との間にコントラストをつけていきます(図21)。

図21:エイリアンの身体の[BasicMaterial]

図21:エイリアンの身体の[BasicMaterial]

胴体のすべての毛穴や凹みでは、[Blur]値を2にしたマスキングツールを使用します(Tool > Masking > Mask By Cavity)。このディテール用に新しいレイヤーを追加して、暗めの色でペイントします。

イメージの中には、思い通りにならない場所も当然あるので、そういった所には、[Rgb]のみオンにした[Polish]ブラシを使用します([Zadd]、[Zsub]はオフ)。このブラシが与える色の効果は、私のお気に入りです。[Alt]キーを押すと凹みの外側、または内側だけが色付けされます(図22)。

図22:エイリアンの身体の[BasicMaterial]

図22:エイリアンの身体の[BasicMaterial]

美しい色合い

移動装置は綺麗に仕上げたいので、色使いにも気を配る必要があります。白、オレンジ、そして、キャラクターの胴体に近い、調和を感じさせるダークブルーの3色だけを使い、コントラストを出していきましょう。

この装置には光を放つパーツがいくつかあります。ホログラムプロジェクター、コントロールボタン、光源、推進装置、警報ライトなど。これらすべてに、ディテール抜きで基本色を適用します。最終的なグロー(光)は最後の BPR セットで行います(図23)。

図23:色を追加して、光る場所を指定

図23:色を追加して、光る場所を指定

キャラクターにポーズをつける

すべてのディテールで作業を終えたら、キャラクターが最終イメージでどう見えるか、その姿勢について考えるときです。脚は移動装置に組み込まれているため、実際に配置するのは、手と上半身、そして、頭部です。

まず、胴体、頭部、ベスト以外のすべてのサブツールを非表示にします。その後、[ZPlugin]メニューから、トランスポーズマスター(Transpose Master)プラグインを選択。ZSphere でリグをコントロールできるように、[Layer]と[ZSphere Rig]をチェックします。 リグはシンプルな作りです。最初に大まかなフォームを描いて主要な関節を配置、腕の各ポイントにサポートキャップを追加します。リグの作成では、ジオメトリがしっかりとサポートできているか、また、ZSphere がジオメトリに余計な影響を与えていないかを確認しなければいけません。

例えばベストの場合、キャラクターを回転したときにストレッチし過ぎないよう、リブ(肋骨)を追加する必要があります。Tool > Rigging > Bind Mesh をクリック、各ポイントと変形部分でリグを確認します(図24)。

図24:トランスポーズマスターで、キャラクターの可動部分にポーズをつけます

図24:トランスポーズマスターで、キャラクターの可動部分にポーズをつけます

キャラクターのポージングが完了したら、修正内容を新しいレイヤーのメッシュに転送しましょう。トランスポーズマスターで、[TPose → SubT]を実行してください。もちろん、これで完璧ではありません。後で修正が必要な問題が出てきます。そのときは、最も低いサブディビジョンレベルにセットして、[Move]ブラシを使えば、素早く簡単に修正できます。

すべての要素の配置とベイクが希望通りにできたので、BPRレンダリングに進みましょう。

BPR

BPR レンダリングを始めるには、まずレンダリングと最終コンポジションに使用する解像度を決める必要があります。いくつかのレイアウトを試した結果、5000 × 4000 ピクセルがちょうど良いと分かりました(キャラクターとキャンバスの境界間に適度なスペースができます)。イメージを大きめに作成しておきましょう。完成後に、Photoshop でサイズを少しだけ(約5%)縮小して、すべてをブレンドします。

Movie > Timeline > Showをクリック、タイムラインを出してキーを設定します。こうしておけば、間違えてキャンバス上をドラッグしても、タイムラインスライダのキー間をドラッグするだけで簡単に元に戻せます。

設定を終えたら、最終コンポジションに向けたレンダーパスを作成していきましょう。これは、単純なプロセスです。まず、影やアンビエントオクルージョンを除いたシンプルなカラーパスを生成。これは、すべてのサブツールに[Flat Color]マテリアルを適用してから、[SPix]を4にした BPR レンダリングで作成します。この設定を他のすべてのパスに適用してください。作成するすべてのパスを、最適な品質を確保するため、PSD ファイルとして保存してください。

次に、影とアンビエントオクルージョンパスを作成しましょう。[AOcclusion]の解像度を 4096 に変更、滑らかに仕上げします。パスは Render > BPR RenderPass に保存されるので、シェーディングは[Flat Color]のままです。完了したら、これらのパスとDepth(深度)パスを保存します(図25)。

図25:キャラクターの一連のパスを作成します

図25:キャラクターの一連のパスを作成します

残りのパス

最終コンポジションに向けて、残りのパスを作成していきます。装置の白い部分のベースを作成するため、[BasicMaterial]を使用。残りのパスも同じマテリアルですが、[Ambient]と[Diffuse]を0に下げています。また、より優れた効果を得るために、スペキュラとライトの位置を調整しておきましょう(図26)。

図26:エイリアンキャラクターに使用した残りのパス

図26:エイリアンキャラクターに使用した残りのパス

後で Photoshop での選択作業が簡単になるように、それぞれのパスを1色の[Flat Color]マテリアルで塗りつぶします。そうすれば、「装置」、「胴体」、「ベスト」を後で簡単に分離できます。

図27

図27

図28

図28

Photoshop で合成する

すべてのレンダーパスを作成できたら、イメージを Photoshop に取り込んで合成を始めましょう。最終イメージには、柔らかなグロー、ライト、ホログラムなどたくさん組み込みます。この作業は最後までとっておきました。

Photoshop ファイルの構成はシンプルです。複雑にならないように、すべての要素をグループ分けしておきます。最初に、キャラクターのコンポジットを移動装置と胴体の2 つの部分に分けます。こうすると、別々にコントロールしながら、それぞれに対して適切に調整できるので、作業が楽になります。グループは、「ハードサーフェス」、「胴体」、「AO」、「その他(追加されたグローやその他のエフェクトを含む)」、そして「背景」です。

レイヤーに素早くマスクを追加したり、最後に[ぼかし(レンズ)]を追加できるように、チャンネルセットの新規レイヤーにアルファとDepth(深度)パスを追加します。

追加するすべてのパスとレイヤーでは、それぞれを最大限に活用し、描画モード、不透明度、色、コントラスト、色相・彩度などのあらゆる要素を調整していきます。

ディスプレイなど追加のグラフィックスは、ゼロから作成。その後で、[変形]ツールでテキストを修正しています。最後に、フィルター > ノイズ > ノイズを加えるで、ノイズを含む新規レイヤーを作成。イメージ全体に統一感を持たせて完成です。

図29

図29

※このチュートリアルは、書籍『ZBrushキャラクター&クリーチャー』にも収録されています (※書籍化のため一部変更あり)。

編集部からのヒント

フォトリアルなCGキャラクターの制作テクニックを学習したいなら、書籍『3Dアーティストのための人体解剖学』、そして、『MAYA キャラクタークリエーション』をお勧めします。

オリジナルURL(英語):
http://www.3dtotal.com/tutorial/2010

翻訳:STUDIO LIZZ
編集:3DTotal.jp


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