Character Creator + Blender 使用、マントの物理演算

Reallusion の 3Dジェネラリスト Peter Alexander氏 が、自作のピッコロ(『ドラゴンボール』より)のマントへ 物理演算 を追加するプロセスを説明します


Peter Alexander
3Dジェネラリスト | カナダ

はじめに

こんにちは。Character Creator 関連のワークフローのスペシャリスト Peter Alexander です。このチュートリアルでは、自作のピッコロ(『ドラゴンボール』より)の衣装、特にマントに対して 物理演算 を追加するプロセスを詳しく説明します。またその過程で、その他のテクニックについても少し紹介します。このチュートリアルでは Character Creator 4Blender、そして、CC4 Blender Pipeline ツール(*CC4 アドオン)と CC/iC Blender ツール(*Blender アドオン)を活用しています。

 

★Easy Cape Physics on Dragon Ball Piccolo(13分57秒)

01 衣装の属性

このキャラクターの衣装はいくつかのレイヤーで構成されていますが、Character Creator の様々な機能(Conform や Auto Hide Mesh 機能など)を活用するためには、適切にレイヤー分けしておくことが重要です。ただし この段階では、物理演算はこれらのレイヤーの影響は受けません。

 

デフォルトでは、まだ衣服のアイテムがない状態から最初にインポートした服のアイテムはレイヤー1のスロットから始まり、その後 2、3.. と続きます(衣服のレイヤーメニューを使って、これらのレイヤーは並べ替えることができます)。元々レイヤーは 20枚程度に制限されていましたが、現在は252枚まで使用することができるので、衣服の追加には十分な余地があります。— ただし手袋と靴のスロットは例外で、これらは今でもまだ 2レイヤーに制限されています。

 

02 マテリアルをリネームする

これらのアイテムのいくつかを ZBrush で作成しましたが、デフォルトでは GoZ からインポートされたすべてのアイテムには同じマテリアル名が適用されています。しかし Blender では複数のマテリアルやアイテムが同名になることは許されていません。そのため、マテリアルの名前は Blender にインポートする前に変更しておかなければなりません。

03 マントのウエイトマッピング

ほとんどの場合、マントは首のすぐ下にある Spine02 というボーンにウエイト付けされています。私の場合、マントはこの設定で上手くいくのですが、これは設定次第では変わってくるかもしれません。私は大抵、マントは脚や腕にはあまりウエイトを掛けません。現実でもこれらのボーンはマントには影響を与えることなく動き回るからです。

マントはキャラクターに追随してほしいとはいえ、せっかく物理演算を使うのですから、胴体以外の動作には直接影響されないようにしたいのです。

 

04 Blender へエクスポートする

準備ができたら CC4 Blender Pipeline ツール(*CC4 アドオン)でキャラクターをエクスポートします。続いて Blender の CC/iC Blender ツール(*Blender アドオン)を開いて、先ほど保存した FBX をインポートします。

 

05 スカルプトツールで衣服を調整する

編集ツールとスカルプトツールを使って、インポートに際して表れてくる様々なクリッピングの問題を修正しましょう。なおマントに皺は付けません。そこのところは物理演算によって処理するからです。またこのマントには法線マップも付けていないことにご注意。私の経験上、法線マップを使用したフェイクの皺は、リアルな物理演算が与えられるとかえって奇妙に見えてしまう傾向があります。そのため、私は法線マップによる衣服の折り目はこのマントのようなアイテムに対しては使用を避けています。

 

06 メッシュのスムージングと法線

どういうわけか、ほとんどの場合インポートされたアイテムに対しては Smooth Shading を設定してやる必要があるようです。この操作を行った後は、編集モードで法線を平均化して再計算することができます。これは絶対に必要というわけではありませんが、こうしておけば Character Creator 内で法線の計算ミスを処理する手間が省けます。

 

07 物理ウェイトマップを追加してペイントする

衣服のウェイトマップは、アドオンの Cloth Settings エリアから適用することができます。Add Weight Map を有効にすると、通常のテクスチャと同じようにマップをペイントすることができます。白い部分には物理演算が追加され、黒い部分には追加されません。黒のウエイトマップは物理計算されませんが、逆に黒いエリアを加えることによって布地をピン留めするような使い方ができます。

 

グラデーションを開始するエリアを正しく設定するには若干試行錯誤が必要ですが、それでも、マントのウエイトマップは Gradient ツールを使って描くのが一番良い方法だと思います。ウェイトペイントが終わったら、Done Weight Painting をクリックし、マップを保存します。

 

08 エクスポートし、Character Creator に再度インポートする

CC/iC Blender ツール(*Blender アドオン)を介してキャラクターをエクスポートし、Character Creator にインポートします。この過程で非表示メッシュの設定は失われるので、再度設定する必要があります。

 

 

キャラクターが再インポートされた後は、ウェイトマップが自動的に読み込まれたことが確認できます。ウェイトマップをさらに調整したい場合は、輝度やコントラストの設定を操作することができます。

 

09 物理演算をテストする

Animation Player で確認してみると、マントのクリッピングを防ぐために、メインキャラクターにコリジョンシェイプを追加する必要があることがわかりました。私の理解では、コリジョンシェイプは物理演算の計算に必要なリソースを軽減させる働きがあります。ポリゴン密度が高いメッシュ間で計算を実行すると、多くのシステムではもたつきが生じます。

 

10 コリジョンオブジェクトを追加する

この時点では衣服の他の部分には物理演算がないので、コライダー(衝突回避アイテム)を設定して、マントがそれらのアイテムをクリップしないように設定していきます。コライダーは、X、Y、Z 軸の拡大縮小、回転、位置変更、さらにカプセル型から球型までの変更が可能です。

 

 

コライダをセットアップしたら、もう一度物理演算テストをやってみます。Character Creator 4 の新しい Animation Player は、キャラクターを iClone に送って より詳細なアニメーションを作成する前に、物理のトラブルシューティングを行うのに非常に便利です。

 

 

もしこの段階でまだ問題があるようなら、良い結果が出るまで辛抱強く物理設定を弄ってみることになります。シミュレーションを掛けるとマントが少し縮むのが分ったので、Tether Limit を調整しました。また Dampening を調整すれば空気抵抗を増やしたり減らしたりすることができます。これらのプロパティの内訳は、iClone のオンラインマニュアルに記載されています。

・剛体プロパティThe Propeties of a Rigid Body へ)

・ソフトクロスシミュレーションThe Soft Cloth Simulation へ)

このデモは比較的一般的な知識をカバーしていますが、その過程であなたのワークフローに有益なヒントがあったなら幸いです。CC4 Blender Pipeline ツール(*CC4 アドオン)と CC/iC Blender ツール(*Blender アドオン)は、このプロセスをより円滑にし、衣服や物理設定の最適化をより一層容易にする道を開きます。

Character Creator から Blender へのコンテンツのエクスポートやインポートは、一般ユーザーにとってかつてないほど簡単で身近なものとなっています。さらにこれらの素晴らしいツールは、アップデートされるたびにより良いものになってきています。

無料ダウンロード

■ CC/iC Blender ツール(Blender アドオン)
https://github.com/soupday/cc_blender_tools

■ CC4 Blender Pipeline ツール(Character Creator 4 アドオン)
https://github.com/soupday/CC4-Blender-Tools-Plugin

■ Character Creator 4 無料体験版(30日間)
https://www.reallusion.com/jp/character-creator/download.html

 

■ BLENDER キャラクターパイプライン(Reallusion)
https://www.reallusion.com/jp/character-creator/blender.html

 


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編集:3dtotal.jp