四足クリーチャーのデザイン&作成

さらなるディテール

葉が付いているロープは[CurveTube]ブラシで作成しました。[Shift]キーを押したまま、サーフェスから空の領域にドラッグすると、チューブがメッシュにスナップして、包み込むロープのような構造を形成します。さらに、[Draw Size]を変更してカーブ上をクリックすると、チューブの厚みを調整できます。クリーチャーの指はそれぞれ近い位置にあるので、ディテールを描いていくのは大変です。そこで今回は、各指ごとに別のポリグループを作成しました。まず、[Ctrl]キーを押したまま、指を1つクリック、他の指から分離しましょう。これで作業しやすくなります(図08)。

最初に、選択しやすい指先を分離して、指全体が表示されるまで、[Visibility]タブの[Grow]を押します。次に[Group Visible]を適用、指メッシュの表示部分全体を1つのグループにまとめます。他の指でも同様の手順を繰り返しました(図08 の1~4を参照)。

図08:別々のポリグループに変換して、指で作業しやすくします

背中にディテールを加える

肩や背中の大部分がむき出しで、面白味がないように見えます。この部分にもっと変化をつけるため、[MaskLasso]ツールで斑点のスポットをマスクして、背中にハードなディテールを加えましょう。このプロセスの発展段階は、図09 の1〜4 に示されています。

図09:四足歩行クリーチャーの背中に、面白味のあるディテールを形成

ビーズのディテール

ロープ上にビーズの飾りを作成するため、ビーズを配置したい部分を細長くマスクします。次に[Extract]や[EdgeLoop]ツールと[GroupsLoops]を併用し、各ビーズを1個ずつ作成していきましょう(図10)。

図10:[Extract]と[EdgeLoop]ツールを使用して、ビーズを作成

ディテールとテクスチャリング

最小ディテールには、主に[Dam_Standard]、[ClayBuildup]、[Pinch]ブラシを併用しました([Brush Modifier]の数値を40、デフォルトアルファ[Alpha 37]、[Alpha 38]をセット)。この段階では、1つの領域に時間をかけて作業し過ぎるよりも、モデル全体に均一なディテールを加えるようにします。

私のテクスチャリングアプローチは、モデリングアプローチと同じです。つまり、大きなディテールから始め、小さなディテールに移行していきます。まず、白いMatCapマテリアルで、モデル全体をレンダリングします。ここで1度、さまざまなカラースキームを素早く試すため、Photoshop に切り替えましょう(図11)。

図11:Photoshop に移り、さまざまなカラースキームを試す

満足できたら ZBrush に戻り、スケッチに従いながら、すべてのサブツールにベースカラーを割り当て、色のバリエーションやディテールを追加していきます。

テクスチャリング初期段階では、主に[DragRect]ストロークとスプレー型アルファ(Alpha 07〜08など)をセットしたブラシで、ベースカラーのバリエーションを作成。次に[Spray]ストロークに切り替え、再び2つのアルファをセット、小さめのディテールに取り掛かります。最も小さいディテールには、[FreeHand]ストロークを使用します。最後に、写真から作成したアルファを適用して、テクスチャに味わいを出します。ここでは、[Mask By Cavity]や[Mask PeaksAndValleys]も強力なツールになります。また、テクスチャに寒色と暖色の領域やグラデーションを施して、さらに面白味を出していきます。

パスのレンダリング

レンダリングでは、すべてのパスが同じビューから実行できるように、まず、[ZAppLink]でカスタムビューを保存しましょう。次に、テクスチャリングされたモデルで2つのBPRレンダリングを開始。両方とも[Cavity Detection]を少し低めに設定した[SketchShaded2]マテリアルを適用しています。1つは[Vibrant Shadows]と[AO]をオン、もう1つはオフです。これは、効果が強過ぎる領域が出てきたとき、必要な場所にマスクをかけるために実行しています。

今度は、[Basic Material]に切り替え、すべてのポリペイント情報をオフ、[Color]で黒を選択します。この設定を行なった上で、ライト、マテリアルの色、強度、配置、スペキュラとスペキュラカーブの調整を施し、追加のライティングパスをレンダリングします(図12)。

図12:モデルのレンダーパスを作成

仕上げ

すべてのサブツールを[Flat Color]で塗りつぶし、[Inactive SubToolDimming](Preferences >Edit)を最小に変更して、マスクを作成しましょう。

最終レンダリングの合成は、Photoshop で行います。[カラーバランス]調整レイヤーを作成したら、マスクで各要素を選択、色補正を行い、一貫性を表現しましょう。最後に、前述の追加のライティングパスを付け足し、[覆い焼き(リニア)]描画モードに切り替えて、必要な場所で不透明度を下げます。仕上げに、BPR で作成した ZDepthパスを利用して、さりげないエフェクトを描いたり、[ぼかし(レンズ)]を少し加えてみても良いでしょう。

図13:最終レンダリング(正面 / 背面)

図14:最終レンダリング(側面)

※このチュートリアルは、書籍『ZBrushキャラクター&クリーチャー』にも収録されています (※書籍化のため一部変更あり)。


翻訳:STUDIO LIZZ
編集:3dtotal.jp