【インタビュー】ゲーム、映画、アニメーション..。Robh Ruppel 氏 の歩んできたアートの道
「horror genius (恐るべき才能)」とも称される Robh Ruppel 氏 が アートやアニメーション業界での経験を振り返ります

「メビウス が絵を描く様子を見たのですが、とても奇妙なプロセスでした。でも彼にとってはごく自然なことで、その結果に異論を唱える人はいないでしょう」
Robh Ruppel は、アートやアニメーション業界での経験を振り返ります。ディズニーから Netflix まで、あらゆるプロジェクトに携わってきた彼は、日常生活のすべてが創作活動の一部になっていると言います。
はじめに
Robh Ruppel は、コンセプトアート や エンバイロメント(環境)デザインの分野で知られるアーティストです。その作品は非常にリアルで雰囲気に満ちており、画面に手を伸ばせばその場の空気まで感じられそうなほどです。Netflix で他のアーティストたちと『ラブ、デス&ロボット』のような作品に携わる一方、未発表の新プロジェクトにも取り組んでおり、常に創作活動に励んでいます。
01 キャリア
Ruppel はビジュアルアート業界の一流企業で働いてきました。Naughty Dog、Blur Studio、Dreamworks、Blue Sky、Disney Television Animation、Sony Pictures Animation、Paramount などが その経歴に名を連ね、現在は Netflix Animation に在籍しています。
幼い頃からスケッチを続けていた彼は、Art Center College of Design で技術を学び、後に同校で教壇に立ちます。また、Gnomon や Concept Design Academy でも指導経験があります。Spectrum Fantasy Art Annual で金賞・銀賞を受賞したほか、Ballistic Publishing の「EXPOSÉ」シリーズをはじめ、数々の作品集に掲載されてきました。
Ruppel はアーティストを取り巻く環境が変化したことを実感しており、「今はインターネットで得られる情報がはるかに多くなりました」と言います。
「以前は、ドローイングや絵画に関する学術的な知識を得るために、ほんの一握りの専門書を探し回る必要がありました。今では、そうした情報の多くを無料で見つけることができます。そして、SNSの登場で、認知してもらうのも簡単になりました。印刷物やギャラリーに限られていた発見の場が広がり、より多くのアーティストを見つけられるようになったのです。ただし、そのチャンネルにはノイズも増えました(多くの雑談や情報があふれています)。その中から価値あるものを見つけ出すために、ふるいにかける作業が必要になります」
02 戸外制作の魅力
Ruppel の作品の特徴は、戸外制作(印象派スタイル)で描かれた一見何の苦労もなく仕上げたような絵です。写真と間違われることもありますが、それらは彼が目にした光景を描いたものです。
「屋外での絵画で発見したことを商業作品に応用しながら、自分独自の形のデザインを追求しています」と彼は語ります。「人は基本的なほんの数個のアイデアだけでも、それに生涯をかけて取り組むことができます。それがこの職業の素晴らしいところですね」
03 デジタルとアナログの融合
現在、Ruppel の商業作品はすべてコンピュータ上で制作されていますが、成功した作品の中には手描きをベースにしたものも多いのです。
「手描きのリズムには、自然なプロポーションの相互作用を生み出す何かがあります」と彼は言います。主に Photoshop を使用していますが、サブスクリプション方式に移行してからは、多くの機能でウェブ接続が必要になったため、屋外では Procreate や Heavy Paint を使うことが多いそうです。
04 ストーリーテリングの重要性
屋外で制作するとき、Ruppel は最も創造性を発揮します。彼にとって、すべてはストーリーテリングなのです。「作品は物語であり、何を強調するかの問題です」と彼は言います。
「何を伝えようとしているのか? 視線をどこに向けさせたいのか? どんな感情を抱かせたいのか? 恐怖、感動、それとも畏敬の念? これらの問いが最も重要なのです。そのメッセージを伝えるために、できるだけシンプルな形で構成する、それが構図の技術です。決まったルールはありません。見る人に最も強い感情を与えるために、いくつかの要素をどう配置するかという作業なのです」
Ruppel は、これを続けていくうちに理解がよりシンプルで深みのあるものになっていくと語ります。「アートの原則、コンテクスト、強調(鮮明さ)がより重要になり、テクニックに頼ることは少なくなりました」
制作には必ず問題解決が伴います。そして、どんなアーティストにも不安や迷いはあるものです。
「長く続けていれば、9割の確率で成功する方法が身につきます。絵を描き始める時にしっかりした土台さえ作れば、あとはインスピレーションが導いてくれるのです」と彼は言います。「しかし、やり方は人それぞれです。有名な漫画家メビウスが絵を描く様子を見たことがありますが、非常に独特なプロセスでした。しかし彼にとってはごく自然で、その素晴らしい結果を見れば、誰も文句は言えないでしょう」
05 Netflix での新たな挑戦
Ruppel は Netflix Animation で非常にスタイライズされた番組の制作に携わっています。「素晴らしい職場です。新しいビジネスモデルで、扱うプロジェクトも驚くほど多彩なんです」
「ストリーミング配信プラットフォームは大量のコンテンツを求めています。ヨーロッパやアジアには優秀な制作スタジオがたくさんあり、これはアニメーション業界全体にとって大きなチャンスです。また、それぞれのスタジオが独自のアニメーションスタイルを持っているので、表現の幅がどんどん広がっているのを感じますね」
06 デジタルがもたらす自由度
現在のアート分野では、デジタル技術によってアーティストの働き方が大きく変わりました。自分のキャリアを思いどおりに築くことができ、世界中のプロジェクトに参加できるのが今の業界の特徴です。インターネットのおかげで、国境を越えた共同作業が当たり前になっています。「インターネットで作品を見つけて、実際に何人かのアーティストを雇ったこともあります。これはデジタル革命の素晴らしい恩恵ですね」
Ruppel は個人制作 と 短編映画制作の両方を手がけています。異なる分野で作業することで、お互いに新しい発見や学びがあると彼は言います。「短編映画と絵画は、どちらもそれぞれの分野を成長させてくれます。ビデオ編集で身につけたリズム感が、絵の構図を考えるときにも活かされています。2つの表現方法を使うことで、1つだけでは得られない成長ができていると実感しています」
07 自己研鑽の重要性
インターネットでいつでもどこでも人とつながり、仕事ができるようになった今、世界は大きく変わっています。
そんな時代だからこそ、Ruppel は「ウッドシェディング (物置小屋修行)」の大切さを説きます。これはジャズの巨匠 チャーリー・パーカー が使った言葉で、物置小屋に引きこもって1人で練習することから生まれた概念です。
「ウッドシェディングで外からの影響をいったん遮断し、自分だけの表現を磨く時間を持ちます。長期間、自分と向き合い続け、自分の視点や技術、伝えたいメッセージを見つけるのです。作品をどこで発表するかを考える前に、まずこれが必要だと思います。本当に伝えたいことを見つける唯一の方法は、時間をかけて自分自身を成長させることなのです」
08 才能豊かなアーティストたちとの仕事
『トロン:ライジング』(2013年)や『ラブ、デス&ロボット』(2019年)といったプロジェクトといった話題作の仕事は、コロナ禍の時期もそれ以前も、Ruppel にとって長期間にわたる重要なプロジェクトでした。これらは温かく創造性に満ちた共同作業だったと彼は振り返ります。
「Alberto Mielgo や Robert Valley と一緒に働けたのは、本当にやりがいのある経験でした。まるでお金をもらいながら学校に通わせてもらっているような感覚です。2人とも素晴らしいデザイナーなので、そばにいるだけで自然に自分のスキルも上がっていくのです」
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