陽気な少年『ゼキーニャ』のメイキング

ブラジルの3Dモデラー Adriana Bosco氏が、陽気なキャラクターの制作方法を共有します(ZBrush、Maya、V-Ray等使用)

この個人制作における私の目的は、研究と学習です。自由時間に取り組んだため、完成までに数ヵ月を要しましたが、ファー・髪の毛・ディテールのあるテクスチャを扱えたので、楽しんで作成できました。このメイキングでは、制作に関わるプロセスをお見せしましょう。

コンセプトとリファレンス

私はJeff Turley 氏のコンセプトを選びました。このキャラクターは魅力的でストーリー性があり、私自身のテクスチャ(肌と服装)のスキルアップと、未経験のツールでファーや髪の毛を作るにもうってつけでした。プロジェクトのコンセプトを整理できたら、キャラクター本体と関連要素・プロップ制作に役立ちそうな多くのリファレンスを探しましょう。それらはモデリング、テクスチャリング、ライティングのために手元に置いておくと便利です。

オリジナルコンセプト(左)とリファレンス(右)

モデリング

キャラクターとその衣装はZBrush でモデリングし、カメラ、メガネ、ボタンや背景(無機的な要素)は Maya で作成。標準的なTポーズで基礎を形成し、キャラクターが完成したらポーズを変更しましょう。

ZBrush で少年ゼキーニャをモデリング

UVとマップ

モデリングが完了したら、[ZRemesher]で全体的なトポロジをクリーンにします。続けて、Mayaの[四角ポリゴン描画](Quad Draw)ツールで、歪んだループを真っ直ぐにしましょう(UVもMayaで調整)。

UVを持つ拡散マップとディスプレイスメントマップ

テクスチャ

テクスチャに一定の時間を費やせば、最終的な見栄えは大きく変わってくるでしょう。パジャマには、本物の織物に近いクロステクスチャをディスプレイスメントマップとして使用、後でファーを少し追加します。肌にはさまざまな種類のブラシを使って、毛穴や不規則性をシミュレートします。このキャラクターは子供なので肌の質感は強調したくありません。しかし、シェーダを適用してより良い結果にするため、テクスチャの効果がいくらか必要でしょう。歯の表面にある凹みは[Dam_Standard]ブラシで作成します。

テクスチャにディテールを加えることで、最終的なシェーダと照明効果が面白いものになります。(上)使用したテクスチャ(ディスプレイスメント)、(下)肌用のブラシ(ZBrush)

ファー

初めて使用したV-Ray fur はとても簡単で、操作も直感的だと分かりました。ジオメトリを選択し、ファーに適用するだけです。コントロールはそれほどありませんが、素早くシンプルなものが欲しいときに、良好な結果を得られるでしょう。私はV-Ray fur を、帽子、衣装、クリスマスツリー、カーペットに使いました。

V-Ray furは、シンプルで高速なツールです

ZBrushのファイバーメッシュ(上)、Mayaのヘアバージョン(下)

シーンの作成

オリジナルコンセプトにはシーンや背景がありませんが、今回は作成することにしました。その理由は2つあります。1つは、私が以前作ったすべてのキャラクターにシーンや背景がなかったこと、もう1つは、クリスマスのムードを入れるとキャラクターの物語を伝えるのに役立つと考えたからです。ここでも、説得力のあるシーンを作成するため、ふさわしいファレンス画像をリサーチしました。

シーンはシンプルなので、キャラクターにフォーカスされます

コンポジット

最終レンダリングの後、いくつかパスを個別にレンダリングするのが好みです。そうすれば、Photoshop で行うポスプロで調整の幅が広がります。

ライトのレンダリングパス(上段)、マスク・Raw・反射・Z深度(下段)

レンダーパスを作成してポスプロを終えれば、ついに求めていたルックにたどり着きます。このメイキングを楽しんでいただき、これが何らかの助けになれば幸いです。ありがとう!

最終イメージ


翻訳:STUDIO LIZZ (Nao)
編集:3dtotal.jp