四足クリーチャーのデザイン&作成

ZBrush を使用した四足クリーチャーの作成

まず、頭の中にあった構想の簡単なスケッチから始めましょう。クリーチャーの特徴についてはいくつか実現したいアイデアがあったので、すべてスケッチに描きました。頭蓋骨の仮面、ビーズ、ロープ、葉、そして、全体的な魔術っぽい雰囲気など。この段階では、1枚のスケッチに時間をかけ過ぎるよりも、自由なスケッチやシルエットをたくさん描いて、いろいろな体型を模索していきます(図01)。

図01:四足歩行のアイデアを書き留めるための簡単なスケッチ

3D ではクリーチャーのフォームや体型を把握・視覚化しやすいので、描きたいものがはっきりしてきたら、3D で直接作業を開始します。

3D への移行

作業場を ZBrush に移しましょう。ZSphere でクリーチャーの胴体を作成して、ダイナメッシュを適用します。ZBrush のダイナメッシュ機能で最も素晴らしい点は、超高速でコンセプトを生み出したり、3D でアイデアを直接探ったりできることです。この段階では、あまり元のコンセプトにこだわり過ぎず、発展させていきます。大きめの[Draw Size]に設定した[Move]、[ClayBuildup]ブラシを主に使用して、大きなスケールで作業しましょう。モデルの一部分に時間をかけ過ぎるよりも、全体を均一に発展させてください(図02)。

図02:コンセプトの3Dバージョンを膨らませます

葉を作成する

ここでもダイナメッシュを使って、葉、頭蓋骨、牙のために素早くシンプルなメッシュを作成しました。これらの要素は、クリーチャーのシルエットにおいて重要な役割を果たすので、胴体を作業中も念頭に置いておきましょう。葉はシンプルなテクニックで形成しています。まず、プレーンを作成して、葉の形に見える領域にマスクをかけます(図03-1)。次に、[Thick](厚み)を低く設定した[Extract]を適用して、マスクからメッシュを生成(2)。仕上げに、ダイナメッシュとスカルプトブラシでディテールを作成(3)、[Transpose]ラインツールで、葉を表示したい領域に[Ctrl]キー+ ドラッグして、コピーします(4)。

図03:モデルの葉を抽出、[ClayBuildup]、[Dam_Standard]ブラシでスカルプト

主なフォームを整形する

頭蓋骨はダイナメッシュを適用した球から作成。[CurveTube]ブラシで牙を加えたら、再びダイナメッシュを適用、ディテールをスカルプトします。

クリーチャーに主なフォームを配置したら、胴体の作業を続けます。小さなメッシュはポージングを難しくするので、この段階ではビーズやロープなど小さめの要素を追加していません。

また、これらの要素はポリゴンの密度が異なるため、モデルに最終的なポーズをつけた段階で追加すると良いでしょう(図04)。

図04:胴体に手を加えながら、主なフォームを配置します

リトポロジ

小さいディテールに移行して、ダイナメッシュの[Resolution]スライダを上げると、グローバルな変更を加えにくなります。これでは、いよいよというときに、モデルのポージングが難しいでしょう。

そこで、今回はまず、胴体のメッシュを複製し、[QRemesher Guides]ブラシで新しいトポロジのガイドとなる線をいくつか描きました。好みの最終ポリゴン数を入力した後に、[QRemesher]を適用。ポージングや、場合によってはUV マッピングに適したトポロジを持つ、密度の低いメッシュを作成します。最後に、細分割して、以前に複製したメッシュからディテールを再投影しましょう(図05:※4R6 より、QRemesher は ZRemesher に刷新されました)。

図05:ダイナメッシュ、[QRemesher Guides]ブラシ、[QRemesher]で、メッシュをリトポロジします

ポーズをつける

主なフォームやオブジェクトをすべて配置した状態で、トランスポーズマスター(Transpose Master)を適用します。モデルのポージングには、[Transpose]ラインツールを使用、メッシュの一部をマスク、移動の順で操作します。さらに、[Move]、[Move Topological]ブラシでの調整も必要となるでしょう。モデルのポージングを簡単に進めるコツは、すべてのサブツールでポリゴン密度を近くすることです。これを行わずに進めると、ポリゴン数の高い場所では、マスクが鮮明になり、低い場所ではぼやけてしまいます(図06)。

図06:トランスポーズマスターを使用して、モデルにポーズをつけます

ディテールと非対称性

ポーズの作業中は、すべての大事なディテールができるだけ表示されるよう、最終的なビューを念頭に置くようにします。モデルのポージングが終了したら、対称性(シンメトリ)を崩していき、小さな要素を追加したり、既存のディテールに磨きをかけます。ここでは、[Topology]ブラシで最終的な葉に仕上げ、すべての歯と骨は、プレーンをマスクする方法で作成します(図07)。

図07:対称性を崩して、ダイナミズムを演出します