『Soul Hunting -ソウル・ハンティング』のメイキング

Songnan Li氏が、作品「Soul Hunting -ソウル・ハンティング」の制作に使用したテクニックを解説します

私はよく、顔をマントで覆い隠し、強靭な身体に豪華な鎧をまとったダークヒーローを好んで描きます。今回のコンセプトは「人間の魂を狩るハンター」でした。

構図を考える準備段階では、頭の中にコンセプトを持ち続けるようにしながら、できる限り、さまざまなジェスチャーとコスチュームを試しました(図01)。

図01

作成したスケッチを比較した結果、左上の死の騎士のスケッチを選びました。騎馬と動きのあるマントに力強さと支配力を感じたからです。これは、当初の考えと合っており、アイデアを発展させる余地がありました。

次の手順は、選んだ下絵を洗練させていくことです。当初のアイデアをさらに発展させていき、色の関係性については深く考えないようにして、さまざまなブラシで、暗い領域と明るい領域の間の関係性の確認と構築を行いました(図02)。

図02

この段階は、次に色を追加するための準備段階なので重要です。初期の段階では、新しいウィンドウを開いて、1つはズームインして、もう1つはイメージ全体を見渡せるようにするとよいでしょう。このようにすると、小さな領域を作業しながら、それがイメージ全体に与える影響を確認することができます。

明暗を決めたら、彩色の段階に移ります。[乗算]と[ハードライト]に設定したレイヤーで、暖色と寒色の間の関係を築きました。ご覧のとおり、赤色と青色で、これを行いました(図03)。

図03

カラー調整([Ctrl]+[U]、[Ctrl]+[B]、[Ctrl]+[M])を何度か繰り返し、求めていたカラー効果を獲得しました。この段階では、フュージョン効果のあるブラシも使用しました。これはイメージの残りの部分で重要な役割を果たすことになります。

岩の写真を見つけ、背景に追加しました。重要なのは、透明度の効果とカラー調整で、この写真をシーンに溶け込ませることです(図04)。

図04

これにより、シーンにテクスチャが加わりました。次は、騎馬、鎧、キャラクターの関係について考えました。

これらの色をわずかに変えることで、構造を明確にすることが重要です。また、下絵の段階で鎧を完全に描き込まないようにして、彩色したときにイメージがより鮮やかになるようにすることも重要です。

その次に、影に取り掛かりました。また、キャラクターに少しテクスチャを加えました。ここではキャラクターの一部のディテールにバックライトの色を使いました。これにより、ミステリアスな感じと力強さが加わると考えたからです(図05)。

図05

光と鎧が相互作用する領域に取り掛かり、うろこ状のブラシで、鎧にさらにディテールを追加しました。マントについては、ひだを注意深く検討するよりも、勢いを捉えることに努めました。また、背景色からの影響が強くなるのに合わせて、色を徐々に調整しました。私のお気に入りのブラシを赤で示しています。

鎧のハイライト部分に黄色を加えたことによって、イメージが引き立ち、肩マントの赤とのコントラストが生まれました(図06)。

図06

また、メインキャラクターの一部から反射する光にも少し色を足しました。こうすることで、これが、より大きなシーンの一部で、彼の周囲には色を反射するものがたくさんあることを匂わせました。そしていよいよ、仕上げについて考える段階になりました。引き続き調整して、光が鎧に反射する領域を洗練させました。また、馬の首の上の鎧の構造もきれいにしました。ミステリアスな雰囲気を強調するために、最前面に角と骸骨を追加しました(図07)。

図07

仕上げとして、引き続きディテールの一部を微調整しました。鎧のディテールをさらに充実させて、より多くのデザインを見せ、作業後は光と影が正しくなっていることを確認しました。のびのびとした情熱あふれるイメージにするため、さまざまなタッチをランダムに使用しました。そして、このプロセスを、完成したと感じるまで続けました(図08-09)。

図08

図09

このイメージの制作プロセスは全体的にスピーディでした。重視したのは、表情豊かなブラシストロークで、自由で流れるような効果を高めることでした。この解説を気に入って、ここから何かを学んでいただければ幸いです。

※このチュートリアルは、書籍『Photoshopで描くデジタル絵画』にも収録されています (※書籍化のため一部変更あり)。


編集:3dtotal.jp