ホーム > ニュース・特集 > 【特別寄稿】造形家/映画監督 片桐裕司の いろいろあっていいんじゃない?|エピソード2:DRAGONBALL EVOLUTION その1

ニュース・特集

【特別寄稿】造形家/映画監督 片桐裕司の いろいろあっていいんじゃない?|エピソード2:DRAGONBALL EVOLUTION その1

hkatagiri_essay

ハリウッドで彫刻家、キャラクターデザイナー、映画監督として活動。日本で開催する彫刻セミナーは毎回満席の片桐裕司さんのエッセーです。肩の力を抜き、楽しんでお読みください!

エピソード2:DRAGONBALL EVOLUTION その1

しかし、これだけは知ってもらいたい。私は騙されたのです! 『ドラゴンボール』と知らされずに仕事を受けたのです! 決して、お金に目がくらんで日本人としての魂を売ったのではありません!!!

10年ほど前の仕事のお話。ADI というスタジオから「面白い仕事がいっぱい始まるから来てくれ」と呼ばれました。詳細は口を濁して教えてくれず、しかし、丁度タイミングも良かったということもあり、何の仕事かわからないまま、そこで仕事をすることになりました。そして 初日に知りました。

今度の仕事は何とあの『ドラゴンボール』の実写版だというではありませんか! 『少年ジャンプ』で連載が始まった時から夢中になって読んでいたあの漫画。少年の頃の私に夢とワクワクをいっぱいくれたあの漫画。今でもコミックス全巻持っているあの漫画。

"非国民" そう。あの日本が誇る偉大な作品をズタズタに汚してしまう片棒を担いでしまった私は、そう呼ばれてもいたしかたない。

ここで何もかも打ち明けます。覚悟はできております。しかし、しかし、これだけは知ってもらいたい。私は騙されたのです! 『ドラゴンボール』と知らされずに仕事を受けたのです! 決して、お金に目がくらんで日本人としての魂を売ったのではありません!!!

こうして図らずも、あの悪名高き映画『DRAGONBALL EVOLUTION (ドラゴンボール・エボリューション)』の仕事が始まったのであった。スタジオに行くと、ドラゴンボールのコンセプトアートが色々と壁に貼ってありました。「映画はこんな世界観になるぞ」というアートです。この映画はまだ、グリーンライト(映画が正式に Go! となるという意味)になっておらず、2週間後に 20世紀FOX で「こんな感じの映画になるぞ」というプレゼンテーションが控えており、それで正式に作られるか決まるという。そのプレゼンのために色々と見せれるものを作るのである。正直言うと、その時点では、そこに描かれた世界観はかっこよかった。その時点では...

スタジオのオーナーが「この映画はこんなのが出るあんなのが出る」という話をしていて、その中で "オザール" という名前が耳についた。皆さん知ってのとおり、主人公の悟空は満月を見ると大猿になるのだが、プロデューサーは「悟空を大猿にしたくない」という。子供達が「こんなのになりたい!」と思えるかっこいいいエイリアンにしたいとのこと。それが "オザール"という名前なんだそうだ。「へぇ?... ファンを舐めてやがる馬鹿野郎」と思ったが私は口にしなかった。

そして、壁に貼ってある "オザール" のデザインを色々と眺めていると、下の方に英語でこう書いてあった。

"Oozaru"

大猿じゃん!!

Oozaru... 大猿じゃん!!

Oozaru... 大猿じゃん!!

>>> その2 につづく


★バックナンバー
エピソード0:はじめに
エピソード1:行動しなきゃはじまらない - 若い世代へアドバイス

★片桐裕司さんのブログ
http://blog.livedoor.jp/hollywoodfx/

★ハリウッドで活躍するキャラクターデザイナー 片桐裕司による彫刻セミナー
http://chokokuseminar.com/

PAGE TOPへ